■勝つためなら手段を選ばない…『H2』広田勝利

 最後に、あだち充氏による野球漫画『H2』(小学館)に登場する広田勝利を紹介しよう。彼は栄京学園高校のエースで、ピッチャーとしてもバッターとしても類まれな才能を持っている。

 しかし性格は最悪で、勝つためなら何でもやるという考えの持ち主なので、故意の反則を次々と展開していく。デッドボールやスパイクによる踏みつけなど、主力選手を潰すためなら手段を選ばない。

 野球は相手と密着をしないスポーツなので反則が難しいと思われたが、広田は巧みにやってのけていてある意味斬新である。

 あえてファーストゴロを打ち、ベースカバーに入った選手を狙って負傷させる技も見せていたので、反則職人ともいえるだろう。しかし結果としては比呂と野田が率いる千川高校に敗れ、肘を痛めて選手生命の危機にさらされることになった。まさに因果応報というやつだろう。

 広田については、かなり深堀りして描写がされていたので、逆に気になる存在となってしまった人も多いと思う。最終的には肘の怪我をきっかけに改心し、成長した姿を見せていた。

 

 スポーツ漫画の反則キャラは、いろんな意味で試合を盛り上げてくれる。主人公チームの成長に一役買っている面もあるので、ある意味必要不可欠な存在なのかもしれない。

 反則をする背景や、その後改心するかどうかも人それぞれだが、いずれも濃いキャラばかり。作品にスパイスを加える彼らの動向にもぜひ注目してみてほしい。

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