『ドラえもん』“拷問部屋”や『オバケのQ太郎』“地獄ステージ”も…原作にはない世界観でトラウマに!? 「藤子不二雄作品」なのに「クセが強すぎた」ファミコンゲームの画像
ファミコンソフト『ドラえもん』(編集部撮影)

 藤本弘さんと安孫子素雄さんの二人による漫画家「藤子不二雄」。数多くの名作漫画を生み出してきた巨匠ゆえ、その人気の高さからゲーム化された作品は数多い。だが、レトロゲームの時代には、原作の持つ世界観とは、ちょっと違うイメージになったタイトルも存在した。中には子ども向けとは思えないシステム、そして凄まじい高難易度でプレイヤーを圧倒してしまったものも……。あまりに衝撃的な内容で、子ども心に「トラウマ」を植え付けてしまったゲームもある。

 今回は、藤子不二雄原作のファミコンゲームの中から、そんな「クセが強すぎる」タイトルを振り返っていこう。

■四方から襲い来る猛攻はまさに“拷問”…!? 『ドラえもん』

 藤本さんはのちにペンネームを「藤子・F・不二雄」と改名している。この藤子・F・不二雄名義の名作漫画といえばやはり、誰しもが知る『ドラえもん』だろう。

 1969年から連載が開始され、今もなおメディア展開が続く国民的人気作品で、1986年にはファミコン用として同名タイトルのゲームソフトがハドソンから発売されることとなった。

 本作は、劇場版『ドラえもん』3作の世界観がベースとなったアクション&シューティング作品。プレイヤーは残機が0にならないよう敵の攻撃を避けながら、数々の強敵を撃破しステージクリアを目指していく。

 原作の世界観をうまく取り込んでおり、キャラクターの特徴を捉えたグラフィックや作り込まれたBGMなど、人気漫画である原作の良さを随所に感じられる一作だ。

 ファミコンとしてかなりハイクオリティな作品である一方、とある“アイテム”を取りすぎてしまうと、原作とは一風変わった空気感の“恐ろしい部屋”へと強制転送されてしまう仕掛けがあった。

 そのアイテムとは「金塊」と「ダイヤモンド」。これらを20個以上手に入れてしまうと、画面が明滅したあと、「拷問部屋」なる空間に連れていかれるのだ。

 この「拷問部屋」に出口はなく、周囲からは敵キャラクターであるガイコツが大量に襲い掛かってくるという、恐ろしい空間となっている。

 ガイコツと同様に出現する「ドラ焼き」を20個獲得するか、一定時間、ガイコツたちの猛攻に耐えきることで再び元の場所に戻れるのだが、おどろおどろしいBGMやステージの様子など、子ども向けとは言い難い演出の数々に恐怖したプレイヤーも多いのではないだろうか。

■クリアするまでは終われないまさに“無限地獄”…『オバケのQ太郎 ワンワンパニック』

 藤子作品は多くがアニメ化されているが、なかでも1964年から連載が開始された『オバケのQ太郎』の第3期アニメをモチーフに作られたのが、1985年に発売されたファミコン用ソフト『オバケのQ太郎 ワンワンパニック』(バンダイ)である。

 主人公のQ太郎を操作しながらステージを攻略していく“横スクロールアクション”作品となっており、十字ボタンでの移動やQ太郎独自の“飛行”の能力を活用しながら、ステージクリアを目指していくこととなる。

 子ども向け作品と思いきや、実はゲームの難易度はかなり高め。ジャンプや浮遊の挙動はかなり癖が強いため、まずはこれらの動作やタイミングをつかみ、襲い来る数々の敵キャラクターを避けられるようになる必要がある。

 加えて、本作屈指の“トラウマ”となっている仕様といえば、特定の穴から落ちた際に移動してしまう「地獄」と呼ばれる空間だろう。見えない足場を活用して出口を目指さなければならないのだが、ここは通常ステージとは異なり、敵や攻撃にあたっても残機は減らずにやり直しをすることができる。

 こう聞くと余裕に思えるかもしれないが、なんとクリアできるまで延々とこの「地獄」ステージを続ける必要があり、操作に慣れていないプレイヤーにとってはなかなかハードな仕様となっているのだ。

 いわゆる“隠し要素”の一つでもあるのだが、真っ暗な空間を手探りで進み、ミスするたびにやり直しをしなければいけない仕様に心を折られたプレイヤーも少なくはない。

 クリア以外にこの「地獄」を抜ける手段はゲームをリセットすることしかなく、アクションが苦手な人にとってはまさにトラウマ必至のステージだったといえるだろう。

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