■『アトランチスの謎』
『アトランチスの謎』(サンソフト)は、あまりにも理不尽なしかけの数々や、クセの強いジャンプ操作でプレイヤーを苦しめた難解なアクションゲームだ。このタイトルにある「謎」とは、何を指しているのだろうか。
説明書を見ると、「アトランチスには、巨大な財宝を基に古代帝国の復活を狙う悪の帝王“ザヴィーラ”が待ち受けているのであった……。がんばれウィン!アトランチスの謎を解け!」と書かれている。
この文面をまっすぐ受けとめるなら、アトランチス島に隠されたさまざまなギミックや、ボスにたどり着くまでの険しい道のり、そのものが「謎」と考えられる。
しかし、ゲームをクリアした人なら、最後にもっと衝撃的な事実が隠されていたことを覚えているはずだ。
最終地点で、主人公のウィンは行方不明になっていた師匠と感動の再会を果たす。だが、その師匠の姿は、なんとファミコンゲーム『いっき』の主人公「ごんべ」とまったく同じだったのである。
西洋風の世界観の主人公の師匠が、なぜか「日本の農民」というギャップこそが、本作「最大の謎」と言っても過言ではない……。
タイトルに「◯◯の謎」と銘打たれながら、その謎が明確にされていないのは、ある意味ファミコン全盛期の「おおらかさ」を表しているのかもしれない。逆に細かいことは気にせず、プレイヤー目線から「謎」の正体を妄想してみるのもおもしろそうだ。