■壮大な世界をスキマ時間に冒険する時代
さらに『ドラクエ3』は2009年、ガラケー版もリリースされた。
スーパーファミコン版で追加されていた「すごろく場」や、ゲームボーイカラー版の“モンスターメダル”など採用されなかった要素も多いが、通学・通勤の車内でポチポチとプレイすることができ、手軽さ重視でスキマ時間に物語を楽しむことができた。
2014年にはガラケー版をもとにしたスマートフォン版のリメイクも発売され、操作性やグラフィックの向上など、時代に合わせた変化を続けてきた。
そして2017年には、PS4と3DSでダウンロード専用のリメイク作品が発売。2019年にも同様のリメイク作がNintendo Switchにて配信された。
基本的にはスマートフォン版のシステムを踏襲しているが、大きな変更点としてはキャラクターやモンスターなどのグラフィックがドット絵からイラストになっていることが挙げられる。モンスターの詳細なデザインを楽しむことができる一方、戦闘時に敵がアニメーションで動くことがないため、昔からのファンはやや物足りないかもしれない。あくまでもナンバリングの新作や『ドラクエ』関連作が多数発売されている中、過去のシリーズをプレイできるという、こちらも手軽さが重視された作品だったということだろう。
元祖であるファミコン版から、時代の変化とともに新要素を追加しながら歩んできたリメイク版『ドラクエ3』の歴史。腰を据えてじっくりとプレイできるリメイク版としては、スーパーファミコン以来28年ぶりとなるファン待望の作品が、今回のHD-2D版である。
制作発表から3年の時を経て、ついに今秋発売が明らかとなった本作は、美麗な背景に馴染むドット絵のレトロなキャラクターが特徴的な「HD-2D」の技術が用いられており、これまでにない新鮮な『ドラクエ3』の世界を歩ませてくれることは間違いない。
当時ファミコン版でプレイしていた人から、ファミコンを見たこともないという若年層まで、幅広い『ドラクエ』ファンが楽しむことができるであろうHD-2D版。発売まで、これまでのリメイク版に触れることで『ドラクエ』熱を高めておくのも良いかもしれない。