■連ドラで演じたのは伊東四朗さんだけ!『笑ゥせぇるすまん』
謎のセールスマン・喪黒福造が欲望に駆られた人々の心の隙を突き、奈落の底に突き落とす様子をブラックユーモアたっぷりに描いた『笑ゥせぇるすまん』。もともとは『黒ィせぇるすまん』というタイトルで1968年から「ビッグコミック」に、1969年から『漫画サンデー』に連載されていたが、1989年のアニメ化を機にタイトルが『笑ゥせぇるすまん』に変更された。
テレビ朝日系で実写ドラマが放送されたのは、1999年のこと。一話完結のオムニバス形式で、あのダークでミステリアスな世界観を実写化するのは難しいことだが、本作は成功したと言えるだろう。
「ココロのスキマをお埋め致します」のセリフが印象的な喪黒福造は、スーツにハットが定番スタイルで、ずんぐりむっくりした体と顔の半分を占める大きな口が特徴だった。
そんな個性的な喪黒を演じたのは、藤子Aさん自らが「あんたしかいない」と熱いオファーをしたという伊東四朗さんである。伊東さんの飄々とした演技は、どこか薄気味悪い原作の喪黒の雰囲気にマッチしていて、見事なキャスティングだったと言えるのではないだろうか。ちなみに、藤子Aさんいわく、漫画の喪黒は大橋巨泉さんをモデルにしているのだとか。
また、野際陽子さん、松下由樹さん、京本政樹さん、布施博さんなど、ゲスト俳優が毎回豪華だったのも同作の魅力の一つ。バー「魔の巣」のマスターを演じていたおヒョイさんこと藤村俊二さんも、セリフがほぼない中で圧倒的な存在感を放っていた。