■非情な二択で得られるモグの「おどり」
最強の武器「ラグナロク」か、最強魔法を覚えられる魔石「ラグナロック」か。魔石「オーディン」か、魔石「ライディーン」かーー。
1994年にスーパーファミコン用として発売された『ファイナルファンタジーVI』は、物語の途中で選択を迫られることが多い。物語中盤、フィールドが一変してしまう「崩壊」の前にも二者択一を判断しなければならないポイントがあり、炭坑都市ナルシェでモーグリを助けて「モグ」を仲間にするか、コソドロを助けて「金の髪飾り」を入手するかも悩むところだ。
金の髪飾りは魔法によるMP消費を半分にする貴重なアクセサリーであり、おまけにモグは崩壊後にも仲間にすることができる。そのためこの二択では「金の髪飾り」を選ぶ人が多いだろう。
だがこの選択は簡単なようで、実は失うものがある。それがモグのスキル「水のハーモニー」だ。モグは、様々な自然現象を起こすアビリティ「おどり」を使うことができるが、水場で戦うことで覚えられる「水のハーモニー」は崩壊前にしか覚えらず、崩壊後に仲間になってからでは遅いのだ。
「水のハーモニー」を覚えるには、崩壊前の蛇の道か、レテ川でモグを連れて戦闘する必要がある。どちらのルートも、ダンジョンを通る過程で、後戻りできない長距離移動が必要。なので飛行船があったとしても、かなりの距離を徒歩で歩かないといけない。
地形によるスキルなので、水に関係する場所で覚えるのだろうと想像はつくが、どこにでもある海岸や海沿いで戦闘しても何も覚えない。蛇の道かレテ川まで行かないといけないというのは、普通のプレイヤーはなかなか発見できないであろう。
仮に思いついたとしても、蛇の道もレテ川も、再訪できる場所とは気づきにくいうえ、再訪する方法を見つけるのも困難である。多くのプレイヤーが、「おどり」の画面で1つだけある空白に、疑問を抱きながら進み、そのままクリアすることとなったのではないだろうか。
期間限定だったり、二択が介入していたり、やたらと複雑な条件だったりと、入手条件が厳しいアイテムや技。はたして、攻略本などの知識なしで、自力で発見できた人はどれくらいいるのだろうかーー。