■青銅聖闘士の前に立ちはだかった20歳の巨体

 最後は、車田正美さんの『聖闘士星矢』に登場した牡牛座のアルデバランを見ていく。彼はアテナ神殿に通じる「十二宮」を守護する黄金聖闘士の一人だ。 

 年齢は20歳。『聖闘士星矢』は年齢と見た目にギャップのあるキャラが多いのだが、アルデバランは金髪ロングのオールバックに鋭い顔つき、210センチ、130キロの巨体ゆえ、突出していた。

 性格は見た目に比例し、豪快かつ実直で漢らしい。黄金聖闘士の中で最も兄貴っぽい人物と言えば、間違いなく彼だろう。真っすぐすぎる戦闘スタイルゆえやられてしまうこともあるが、戦闘力も高く、凝縮した小宇宙を放つ必殺技「グレートホーン」は凄まじい威力を誇る。初登場時の星矢との戦いでは、そんなアルデバランの強さと実直さが垣間見えた。

「金牛宮」に足を踏み入れた星矢ら青銅聖闘士は、「勝手にこの金牛宮をとおりぬけることはゆるさん!」と現れたアルデバランに吹っ飛ばされ、足止めを食らう。

 星矢は圧倒的な強さを見せつけられ窮地に陥るが、戦いの中で黄金聖闘士のみが体得する小宇宙の真髄「セブンセンシズ」に目覚めはじめ、反撃を開始。「グレートホーン」をはじき返し、彼の黄金の角をへし折った。

 直前に「角をヘシおったらあっさりと敗北をみとめてくれるわ」と発言していたアルデバランは、「ウワーッハハハーッ!!」と豪快に笑い出し、「いやあ まいった オレの負けだ星矢 このタウラスの角をヘシおった男などおまえがはじめてだ」と本当にあっさりと負けを認めた。だが、後に牡羊座のムウが言っていたように、彼が100%の力を出していたら星矢たちは全滅していただろう。

 その後アルデバランは通過を許可し、最後には「この先もおなじようにいくと思ったら大間違いだぞ! 黄金聖衣をなめるなよ!」とエールを送った。黄金聖闘士は美男子が多いので女子人気は低かったが、間違いなくアルデバランはかっこいい漢である。

 大人の視点から見ると、20歳前後の若者とは思えない彼らの達観ぶりには驚いてしまう。だが、若い彼らが戦いの中に身を置き、命をかけなければならなかった背景を考えると胸にくるものがある。

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