5月27日は、シリーズ第一作の発売日にちなんで「ドラゴンクエストの日」と認定されている。毎年『ドラクエ』に関する何らかの情報が公開される日とあって、ファンにとっては待ち遠しい日でもあるのだ。
そんな「ドラクエの日」。2021年には『ドラゴンクエストIII』がHD-2Dの技術を用いてリメイクされることが発表され多くの話題を呼んだが、3年経った今も発売日すら明らかにされていない。
今回は、2024年の「ドラクエの日」にHD-2D版『ドラクエ3』の最新情報が公開されることを願って、現状知り得る情報を今一度まとめておきたいと思う。
■3作に渡って連なる「ロト伝説」
そもそも『ドラクエ3』は、1988年にファミコン用ソフトとして発売され、過去作と比較した自由度の高さと遊びやすさ、1・2作目から連なる「ロト伝説」シリーズの集大成として、多くのファンから愛された作品だ。その人気は根強く、「好きなドラクエシリーズは?」という質問でいまだに『ドラクエ3』を挙げる人も少なくない。
本作は、魔王の討伐に向かって消息を絶った父の遺志を継ぎ、息子である主人公が仲間とともに魔王討伐の旅に出るストーリー。
『1』と『2』のプレイは必須ではないものの、『ドラクエ3』を真に楽しみたいのであれば、発売前に両作品ともプレイしておくことをおすすめしたい。とはいえ『ドラクエ』を2作品クリアするとなると、正直かなり骨が折れるのも否めない。
そんな『1』と『2』未プレイの人たちでも「ロト伝説」を十分程度楽しめるようなリメイクが、ゲーム内に仕込まれていることも期待したいところである。
■懐かしさと確かな新しさを感じさせる「HD-2D」のグラフィック
2021年に公開された制作開始のティザームービーで何よりも目を引くのが、その美麗なグラフィックである。趣のあるドット絵のキャラクターと3Dの各種映像効果によって生み出される背景を組み合わせた「HD-2D」の技術が採用された本作。
その美麗なグラフィックは2018年発売の『オクトパストラベラー』にてはじめて採用され人気を博し、当時のスクウェア・エニックスの代表であった松田洋祐氏が、「HD-2D」を用いたリメイクをもっと活かすよう開発チームに打診したという。
ファミコン版『ドラクエ3』が真上からの見下ろし視点だったことに対して、リメイク版では斜め上からの見下ろし視点で世界に奥行きが感じられるようになったほか、キャラの衣装や町の明かりなど、描写の細かさと美しさがグッと高まっているのが見て取れる。
昨今の『ドラクエ』シリーズにおける完全3Dのグラフィックとは違い、新しさのなかに当時の懐かしさも残せるのが「HD-2D」の魅力であると言えるだろう。
数秒だけ見られた戦闘シーンでは、キャラの斜め後ろからの視点でモンスターと対峙する様子が見られ、2頭身のキャラたちが戦いに臨む姿からはどこか愛嬌も感じられた。
コマンド選択後に実際の戦闘がはじまると、モンスターを正面に置いたおなじみの視点に切り替わり、迫力のエフェクトも相まって臨場感を味わえるものとなっている。
『オクトパストラベラー』シリーズ、『ライブアライブ』、『トライアングルストラテジー』など複数の「HD-2D」ゲームを手がけたスクウェア・エニックスが、これまでの経験を経て『ドラクエ3』のリメイクにその技術をどのように落とし込んだのか。ティザームービー公開から3年が経った今、開発が進んだ新たな映像の公開には期待が膨らむばかりである。