■いつまでも色褪せない、摩訶不思議な魅力…『カエルの為に鐘は鳴る』

 1992年にゲームボーイ用ソフトとして登場した『カエルの為に鐘は鳴る』は、ゲームブーム初期に発売された作品でありながら、いまだ多くのファンを持つ、まさに“隠れた名作”の一つである。

 “ゲロニアン軍”によって連れ去られたミルフィーユ王国のティラミス姫を救うため、主人公であるサブレ王国の王子が立ち上がり、壮大な冒険へと繰り出していく。

 アドベンチャーやアクションRPGの要素が絶妙にミックスされた作品で、フィールドや街のなかでは上から見下ろす視点で、ダンジョンでは真横からの2D視点でキャラクターを操作していくこととなる。

 戦闘に関しては、接触した相手との“オートバトル”によって自動的に勝敗が決まるという斬新なシステムを採用している。

 また、ストーリーを進めると“カエル”や“ヘビ”といった姿に変身することができるようになり、人間と合わせた三つのスタイルを使いこなし、ギミックを解き明かしていく必要があるのだ。

 全体的にコミカルなストーリーが展開されていき、「ワイン1ばんしぼり」、「カザンオールスターズ」といった数々のパロディも随所にちりばめられている。

 笑いどころ満載な本作だが、一方で全体的なゲームバランスは非常に洗練されており、印象的なBGMも多いことから瞬く間に本作ならではの世界観にひき込まれてしまうだろう。

 ギャグテイストでありながら、最後の最後には王道の熱い展開が待っているのも本作の大きな特徴。その完成度の高さからゲームボーイ初期の作品にもかかわらず、今なお高い評価を得ている一作である。

 クスッとくる笑いの要素と独特の熱さを融合させた、なんとも不思議なテイストの本作は、現在「Nintendo Switch Online」で配信中だ。未体験の人はぜひ遊んでみてほしい。

 

 有名な名作タイトルやシリーズの陰に埋もれがちだが、RPG以外にも数多くの“隠れた名作”が任天堂作品のなかには潜んでいる。現代ではプレミア値で取引されている物も多く、その高値からも改めて作品の完成度や人気を痛感させられてしまう。

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