■壮大な世界観で綴られるサイキックバトル『X』

 1992年から『月刊ASUKA』(現『ASUKA』)で連載中のCLAMPの漫画『X』も、連載再開が望まれ続けている漫画のひとつだ。

 滅びかける地球を前に、人類と地球を守りながら再建を望む「天の龍(七つの封印)」と、人類を滅ぼして地球をゼロからやり直す事を望む「地の龍(七人の御使い)」のバトルを描いた同作。

 連載時からたびたび休載を繰り返し挟んでいたが、2002年に長期休載へとシフト。2004年に雑誌『ぱふ』のロングインタビューにて、ラストに向けた展開がダークな内容だったため、当時国内で起こった様々な事件や災害を鑑みて掲載が難しくなった旨を明かしている。

 現在出版されているのはコミックス18巻までで、2023年11月に、雑誌掲載の未コミック化エピソードが『CLAMP PREMIUM COLLECTION X』の18.5巻として発売された。

 天の龍と地の龍の争いが熾烈を極めた18巻。二重人格の幼女・丁(ひのと)のもうひとつの顔である「裏丁」に導かれて銀座に向かった天の龍・夏澄火煉と青軌征一狼の前に、地の龍の那吒と神威が現れる。感情を持たない那吒だが、火煉に母のような情を覚えて神威の命令に背いて彼女を守る。その決断を見た神威は、「これが彼の望み」と那吒を殺す。

 銀座の結界は壊され、残る結界は東京タワーと都庁のみ。東京はほぼ壊滅状態となり、ついに人類と地球の存亡をかけた最後の戦いが始まろうとしていた……。という場面で物語は止まっている。そして18.5巻では、いよいよ二つの神剣の封印が解かれた。

 封真の言う「神威にしか叶えられない」という言葉、神威の本当の願い、人類の行く末……。気になる点もあるが、CLAMPはかつてインタビューで「結末まで描きたい」と語っているため、いずれ謎が解けることを願う。

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