■ファミコン最後の一本を飾るのはご存じあの“名人”…『高橋名人の冒険島IV』

 これまで各メーカーごとの“ファミコン最後の一本”を見てきたが、ファミコンというハード全体において“最後の一作”となったのは、いったいどんな作品だったのかと気になる人もいるだろう。

 それこそが、1994年6月にハドソンから発売された『高橋名人の冒険島IV』だ。ハドソン最後の一作にして、同時に“ファミコン最後の一作”となった記念すべきゲームソフトである。

 かの高橋名人を主役に据えた人気シリーズのナンバリング作品なのだが、本作はこれまでの作品に比べ、システム面、ゲーム性に大幅な変更がされている。

 たとえば、これまではステージをクリアすることによってエンディングを目指すシンプルな「アクションゲーム」であったが、本作では随所で手に入る“キーアイテム”によって徐々に活動エリアを広げていくという、探索要素が強くなったゲームデザインとなった。

 ボスを倒すことで障害物を排除したり、手に入れたアイテムや恐竜の力で今まで行けなかったエリアに行けたりと、新たな楽しみ方を味わうことができる。

 また、それまでの「バイタリティ」ではなくライフ制の体力が採用されたほか、スコア制の廃止、グラフィックの差し替えなど、さまざまな変化に驚かされた従来ファンは多いだろう。

 だが、それを補って余りある膨大なボリュームが本作のウリといえる。多種多様な「ウェポン」はもちろん、1つずつストックできる「スペシャルアイテム」や、乗り物として活用できる「恐竜」など、個性豊かなアイテムやアクションを駆使し、広大なマップを自由に探索することができるのだ。

 無論、本編以外にも豊富なミニゲームが用意されていたりと、随所に用意された仕掛けがプレイヤーたちを飽きさせない。

 ファミコン最後の一作でありながら、その高いクオリティでファンをうならせた記念すべき名作といえるだろう。

 

 時代の移り変わりとともに自然とブームも下火になっていったファミコンだが、各メーカーから最後に発売されたタイトルはどれも力作ばかり。なかには新作ハードの登場によって認知度が低くなってしまった作品もあり、実に惜しいといわざるをえない。

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