■メガドラで唯一無二の「ドラキュラ」シリーズ『バンパイアキラー』
『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』に続き、1994年にメガドライブで発売されたのが『バンパイアキラー』だ。タイトルに『悪魔城ドラキュラ』や、その英名である『キャッスルヴァニア』はついていないが、現在は公式に『悪魔城ドラキュラ』シリーズの11作目と謳われている。
ムチを使う主人公「ジョニー・モリス」と、槍を使う「エリック・リカード」を選んでプレイすることが可能で、両者の操作性の違いが楽しめる。ジョニーのムチを用いたワイヤーアクション的な動きや、エリックの槍を使ったハイジャンプなど、それぞれの特徴的なアクションを活かして攻略するのが腕の見せどころだった。
そして、舞台は第一次世界大戦中のヨーロッパという異色作で、従来のシリーズとは雰囲気が少々異なる。実は『バンパイアキラー』は発売当初、『悪魔城ドラキュラ』シリーズの外伝的な扱いをされてており、その影響があったのかもしれない。
また『バンパイアキラー』は、『ドラキュラ』シリーズの名作曲家・山根ミチル氏の初参加作品でもある。良質なBGMは多くのファンを魅了した。それに加えてゲーム性の高さや、グラフィックの美しさは、ほかのハードで生まれた別のシリーズ作品にも決してひけを取らない。
そんなメガドライブ用ソフト『バンパイアキラー』だが、現在はとんでもないプレミア価格で取引されていることで有名。発売当時の定価が7800円のところ、現在はカセットのみで2万円以上の値段つけられることもあり、箱・取扱説明書つきの美品だと8~10万円することも。
同作が発売された1994年3月はメガドライブの末期にあたり、同年11月にはセガの次世代ハード「セガサターン」がデビューするというタイミング。そのためゲーム自体の流通本数は限られ、『ドラキュラ』シリーズのなかでも希少価値の高いお宝ソフトと化したと思われる。
ちなみに『バンパイアキラー』は、2019年に発売された『悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション』や『メガドライブ ミニ』にも収録されている。シンプルにゲームを遊んでみたい人は、入手困難なプレミアソフトを探すより、こちらのほうが入手しやすいだろう。
今回紹介した作品以外でも、ゲームボーイアドバンス版『キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲』『キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲』、セガサターン版『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』、NINTENDO64版『悪魔城ドラキュラ黙示録外伝 LEGEND OF CORNELL』、ニンテンドーDS版『悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印』などが、かなりの高額で取引されている。
このように多くのシリーズ作品の中古価格が高騰している『悪魔城ドラキュラ』シリーズだが、その理由は昨今のレトロゲームブームだけでなく、圧倒的なまでの海外人気の高さが影響していることだろう。東京・秋葉原では、多くの海外観光客がレトロゲームショップを訪れる姿が見られ、熱心な海外ファンが、日本版のレアな『悪魔城ドラキュラ』シリーズに目をつけるのは当然の流れなのかもしれない。
だが、それも作品のクオリティの高さが根底にあるのは間違いなく、ゲームソフトが生産中止になった今も、多くのファンを魅了し続けているのだろう。