■フライドチキンの賞味期限も「読める」ようになった『岸辺露伴は動かない』

 ここまででチートじみた能力に育っている「ヘブンズ・ドアー」だが、第4部時点ではまだ弱点があった。意思を持つ人間やスタンドにしか使えないという点だ。
「人を本にする」特性を考えれば当然なのだが、後年のスピンオフ漫画『岸辺露伴は動かない』(集英社)では、その縛りすら超越する。

 単行本第2巻に収録されている「月曜日 天気-雨」は、露伴がフライドチキンと思しき料理を見つめるシーンからはじまる。チキンをまじまじと見つめたり匂いを嗅いだりしたあと、露伴はなんと「ヘブンズ・ドアー」をチキンに使う。

 するとチキンの表面が本のページと化し「賞味期限切れまで 残り 0h.17min.」と標示されたのだ! 本来は人の過去や思考を読むための「ヘブンズ・ドアー」が死んだ鶏肉に通用するだけで驚きなのに、本人(本鶏?)すら知りえない賞味期限を暴き出すとは、成長ぶりがすさまじい。

 ちなみにこのときの露伴は自然体で、特別なことをした様子はない。彼はいつもこうやって食材の賞味期限を調べているのだろうか? 正直、とても羨ましい。

■ゲスト出演なのに存在感抜群!『The JOJOLands』

 月刊誌『ウルトラジャンプ』(集英社)で好評連載中のジョジョ第9部『The JOJOLands』。大富豪をめざす少年、ジョディオ・ジョースターが野望のために戦いに飛び込むストーリーなのだが、その第2話で露伴がゲスト出演し、大きな話題を呼んだ。

 とある事情でハワイを訪れた露伴は、自分の別荘に侵入した3人の強盗と鉢合わせになる。この強盗たちは露伴が持つダイヤを狙ったジョディオの仲間であり、全員がスタンド使い。3対1は圧倒的に不利な状況だ。

 しかし、露伴は触っただけで発動する「ヘブンズ・ドアー」を駆使して3人の強盗を瞬く間に制圧する。それどころか本にした相手から目的や経緯といった情報を奪い、スタンド使いとしての格の違いを見せつける。予想外の無双に、筆者を含む従来の『ジョジョ』ファンは大いに沸きたった。

 なお「第9部の露伴は第4部の露伴とは別人ではないか?」という考察もあり、同一人物とは言い切れない。ただ、一介の漫画家が3人のスタンド使いを制圧する「ヘブンズ・ドアー」のチートっぷりに、疑いの余地はないだろう。

 露伴は第5話で「また会おう きっとな」と再登場をほのめかしている。次に現れたときは、もっと強くなっているかもしれない。

 

 5月に放送予定のドラマ『岸辺露伴は動かない』新作エピソードのタイトルは「密漁海岸」と告知された。漫画版にもあるエピソードで、露伴が「ヘブンズ・ドアー」を使うシーンも描かれている。

 はたしてドラマ版でも「ヘブンズ・ドアー」は使われ、そのチートじみた能力は発揮されるだろうか? TVドラマとしては約1年半ぶりとなる新作『岸辺露伴は動かない』を心待ちにしたい。

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