■よくゲーム化できた?『帰って来た!軍人将棋 なんやそれ!?』

 1989年にソフエルから発売されたのが、『帰って来た!軍人将棋 なんやそれ!?』だ。ボードゲームの「軍人将棋」をテーマとしたゲームだが、すでに発売当時でも「軍人将棋」は非常にマイナーな存在。遊んでいる子どもはほとんどいなかったはずだ。タイトルに「帰って来た!」とあるが決して続編ではない。

 さらにタイトルには「なんやそれ」というツッコミまで入っている。大人になった今振り返れば、もしかするとこれは、製作者たちの「自虐」だったのかもしれない。

 当時、筆者も「軍人将棋」の存在は知ってはいたものの遊んだことはなかった。細かいルールなどは、所有している友人宅で教えてもらったものだ。

 簡単に「軍人将棋」を説明すると、将棋のように自陣の駒と敵陣の駒で勝負するのだが、相手側の駒が見えないままで駒を動かしていく。駒と駒がぶつかると第三者の「審判」が勝敗を決定。勝った駒が盤上に残る、という流れだ。ボードゲームなら遊ぶのに3人必要だが、このゲームならジャッジもファミコンがやってくれるわけだ。

 ただ、友達との対戦になると自陣の駒も見えなくなる。ゲームの特性として仕方がないのだが、初心者にはかなりつらい。対戦だとイマイチ盛り上がらないので、やはり1人プレイ専用ともいえた。

 当時、ファミコンでゲーム化されていたボードゲームといえば、オセロ、五目並べ、将棋、麻雀などがあり、人気もあった。「軍人将棋」という知名度が高くないジャンルを、よくファミコン化したものだ。

■恋人を救うために立ち上がる『アルマジロ』

 最後は、IGSから1991年に発売された『アルマジロ』だ。タイトルでわかるのは動物の「アルマジロ」が出てくるのだろうということだけ。しかも、犬でも猫でもネズミでもなく、アルマジロだ。どんなゲームなのか、想像がかき立てられる。

 実際は2Dアクションゲームで、主人公はテキサスに住んでいるアルマジロの「ビリー・ザ・シェル」。もはやロックバンドのようなネーミングなのだが、ビジュアルは可愛らしかった。

 操作性という点ではかなりスローな動きだったが、シェルは体を丸めて敵の攻撃を防ぐだけでなく体当たりも可能。また、丸まった状態でジャンプすると通常よりも高く飛ぶことができた。ちょっと『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』のようなイメージといえるだろう。

 そういえば、この『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』は同年、メガドライブから発売されており、こちらは音速の動きなのでかなりスピーディーだった。それに比べて、『アルマジロ』はかなりゆったりとした動きだったので、似て非なるものだ。

 ただ、スピード感がないぶん難易度はそこまで高くはなく、また、ゆっくり動くキャラが多いのでどこか穏やかなイメージでプレイできた。しかも、シェルはアイテムを取ると、ほかの動物に擬態できる能力がある。これがまた楽しかった。

 

 さて、ここで紹介したファミコンゲームは、タイトルからゲーム内容を予測できず、プレイしてみないと分からないものだった。人それぞれ感想は違うだろうが、当時は事前情報もなかったからこそ意外性を感じられたりと、違った楽しみもあったように思う。

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