■「天野あい派」か「早川もえみ派」か?

 続いては1989年より連載が開始された桂正和さんの漫画『電影少女』だ。後輩の「仁崎伸子」など魅力的なヒロインが多く登場する作品だが、今回は「天野あい」と「早川もえみ」の2人に絞って紹介する。

『電影少女』は主人公の弄内洋太が恋に悩む物語。洋太は同級生のもえみに片想いをしていた。しかし、もえみは洋太の友人である新舞貴志に想いを寄せていることがわかり、失恋してしまう。

 失恋した洋太の前に、純粋な心の持ち主にしか見えないレンタルビデオ店「GOKURAKU」が現れる。貸し出されたビデオテープを自宅で再生するとビデオガール・あいが実体として現れ、洋太はあいとともに暮らすことになる。

 あいは本来、優しい性格のはずだったが、洋太のビデオデッキが壊れていたため、ガサツな性格になってしまう。一人称も「オレ」になり、ボーイッシュな美少女となる。さらに副作用として本来は持っていない「人を愛する心」を持ってしまい、洋太にひかれていくことになる。

 対して、もえみはスタイル抜群の美少女だ。だが、貴志に恋をしているもえみは事あるごとに洋太に恋愛相談をする。洋太はもえみが好きな気持ちが残っているため、傷つきながらももえみの相談に乗る。しかし、もえみもまた様々な出来事を通して洋太にひかれていくことになる。

「優柔不断」で「モテる」という特徴は、今回紹介する3作品の主人公に共通している。洋太もまた優柔不断でモテるため、違った魅力を持つヒロインの間で気持ちが揺れ動く。

 そんなストーリーはもちろんだが、この作品は絵の魅力が大きい作品でもある。時代を越えて人気がある桂さんの描く美少女を存分に堪能できる作品だ。

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