ヒロインが多く登場するラブコメ作品では、主人公は誰を恋人に選ぶのかという選択を迫られる。そして、その選択に読者は一喜一憂することになる。今回は読者の意見を真っ二つにするような、2人以上の魅力的なヒロインが登場する『週刊少年ジャンプ』での連載作品を3つ紹介する。
なお、序盤のあらすじ以外にネタバレはないので未読の方もご安心を。
■「鮎川まどか派」か「檜山ひかる派」か?
まずは1984年から連載が開始された、まつもと泉さんの作品『きまぐれオレンジ☆ロード』だ。紹介するヒロインはもちろん「鮎川まどか」と「檜山ひかる」である。本作はジャンプラブコメの金字塔的な作品で、累計発行部数は2000万部を突破している大人気作品だ。
主人公の「春日恭介」は超能力一家の長男。超能力が使えることは秘密で、超能力バレをするたびに引っ越しを繰り返していた。新しい町に越してきた恭介は高陵学園中等部に転入。そして、まどかやひかると出会い、3人の三角関係を中心として物語が繰り広げられる。
まどかは恭介と同じく、中等部の3年生(物語開始時)だ。黒髪ロングが印象的なミステリアスな美少女で、校舎裏でタバコを吸っているような学校一の不良少女だった。だが恭介に「タバコなんかすってると丈夫な赤ちゃんが産めなくなるぜっ!!」と言われて以降は吸わなくなり、不良っぽさもなくなっていく。
恭介はまどかに好意を寄せており、まどかもまた、恭介にひかれていく。しかし、幼馴染で後輩のひかるが好意を持っていることから、恭介への想いとひかるとの絆の間で悩むことになる。
ひかるは恭介やまどかより2学年下の後輩で、栗色のショートカットが特徴の明るい性格の美少女である。まどかとは性格も見た目も全く似ていないが、幼馴染で仲が良く、姉妹のような関係性だ。
ひかるは、まどかとタバコを吸っていた時に恭介に出会う。その時は全く恭介に興味はなかったが、偶然恭介が超能力を使ってバスケットゴールへの超ロングシュートを決めているところを見て、スポーツマンだと誤解し、好意を抱くようになる。
恭介はミステリアスでクールなまどかと、天真爛漫なひかるという正反対な魅力を持った2人のヒロインに振り回される。
表紙への登場回数などはまどかが多く、作品の顔的な役割を果たしているのはまどかのほうだ。そのクールな魅力にやられた読者も多いだろう。だが、ひかるの快活で純粋なところに魅力を感じるのも理解できる。まさしくファンを真っ二つにするような作品だった。