■リアルなアイドルのアドバイスに感動!? 『アイドルホットライン 中山美穂のトキメキハイスクール』
歴代のアドベンチャーゲームには、実在する芸能人をモチーフにした作品も数多く登場した。なかでも1987年に発売された『アイドルホットライン 中山美穂のトキメキハイスクール』は、その草分けともいえる一作だ。
当時、アイドルとして活躍していた中山美穂さんをメインヒロインに据え、彼女と偶然出会った主人公が繰り広げるラブストーリーを楽しむことができる。
ゲームシステム自体はオーソドックスなアドベンチャーゲームのそれなのだが、最大の特徴は所々で表示される「電話番号」だろう。なんと当時はゲームに表示された番号に実際に電話をかけることができ、中山さん本人の声でゲームに関連するヒントを教えてもらうことができたのだ。
現在でこそサービスは終了してしまっているものの、ファミコンと現実世界の電話をリンクさせるというなんとも大胆な試みである。
加えて、やはり本作のキモとなるのは、メインヒロインである中山さんとの“恋愛”シーンだろう。会話のなかで適切なセリフを選ぶだけではなく、セリフに対する“表情”も選ぶ必要があるなど、なかなか細かい選択肢が用意されている。
適切な回答に辿り着くため、ときには中山さんが気を損ねるようなルートを選択する必要もあるなど、現実世界の恋愛同様、一筋縄ではいかないようになっているのも面白いところだ。
ストーリー自体は少し短めではあるが、ゲーム全体の作りは非常に良好で恋愛アドベンチャーゲームとして高い評価を受けた本作。もし、リメイクされたならば、現実世界とどのようにゲームをリンクさせるのか……そんなことを思わず想像してしまう、なんとも意欲的な名作といえるだろう。
ダークな世界観や現実世界とのリンクなど、今回紹介した作品はどれも当時の“ゲーム”にはなかったどこかオリジナリティあふれる野心的な試みが目立つ。任天堂が生み出し、ファミコン時代に人々を夢中にさせた“隠れた名作”たちのリメイクを、今もなおファンたちは心待ちにしていることだろう。