『遊遊記』『タイムツイスト』に『中山美穂のトキメキハイスクール』も…Nintendo Switchでは遊べない! リメイクされないファミコン「任天堂ブランド」の野心作の画像
ファミコンディスクシステム『遊遊記 ふぁみこんむかし話 後編』

 かつてファミコンソフトとして発売された作品の多くは、Nintendo Switch版として移植・リメイクされることで、令和の時代になっても多くのプレイヤーを楽しませている。だが一方で、まだまだリメイクがされる兆しを見せない任天堂ブランド作品も多い。ファミコンでリリースされ、現代への復活が望まれる「任天堂の野心作」について見ていこう。

■任天堂には珍しい“ダーク”な世界…『タイムツイスト 歴史のかたすみで…』

 “世界史”といえば誰しも一度は学生時代に学んだ覚えがある科目の一つだが、歴史上に登場する人物や過去の時代を題材にしたゲームもファミコン時代から数多く登場している。だが、一般的な歴史ものではなかなか扱われない史実をベースとした、ちょっと“ダーク”なファミコンソフトが登場していたことをご存じだろうか。

 その一作こそ、1991年に発売された『タイムツイスト 歴史のかたすみで…』だ。ディスクシステム専用のソフトなのだが、実はこの作品、ファミコンの後継機であるスーパーファミコンの発売後に登場しており、それゆえに知る人ぞ知る作品となっている。

 本作はさまざまなコマンドを選びストーリーを進行していく「アドベンチャーゲーム」で、ひょんなことから過去にタイムワープした主人公たちが過去の歴史を紐解いていくという内容だ。

 題材となるのは“キリスト教”、“魔女狩り”、“第2次世界大戦”、“アメリカの奴隷制”といったディープな内容が多く、任天堂作品としては異色のストーリー展開が繰り広げられる。

 コマンドを使って探索を行っていくのはもちろんのこと、本作では「あるく」コマンドで自由にフィールドを移動できるのも独特。また、主人公が“魂”のみの状態で壁をすり抜けたり、人に気付かれず行動できるといった点も、奇抜ながら独自のゲーム性を実現している。

 なかなか子どもには馴染みのない“世界史”分野をベースにしながら、その独自のゲーム性と丁寧な作りから密かなファンも多い一作だ。

 スーパーファミコンの発売によってあまり目立つことはできなかったものの、根強いファンによって未だにリメイクが心待ちにされている、隠れた名作だといえるだろう。

■生き生きと描かれる“西遊記”の世界観…『ふぁみこんむかし話 遊遊記』

 史実のみならず、多くの人々に語り継がれている“むかし話”を題材にしたファミコンソフトも多く登場している。とくに任天堂からは「ふぁみこんむかし話シリーズ」と称された、数々の名作ソフトが生み出された。

 なかでも多くのファンがリメイクを待ち望んでいるのが、「ふぁみこんむかし話シリーズ」の第2弾として、1989年にディスクシステムで前編・後編が発売された『ふぁみこんむかし話 遊遊記』だ。

 本作は中国の古典小説『西遊記』をベースに、オリジナルキャラクターやパロディを加えた独自のストーリーが展開されるアドベンチャーゲームである。シリーズのなかでも難易度は低めに設定されており、ゲームの攻略よりもストーリーを楽しむことがメインとなっている。

 原作でもおなじみの“ごくう”を主人公に、“さんぞう”、“はっかい”、“ごじょう”、そしてオリジナルヒロインである“ちゃお”を加えた5人のメンバーが天竺を目指し旅をしていく。

 前作『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』にもあった“ひとかえる”コマンドは健在で、操作するキャラを切り替えることができる。また、キャラクターごとにさまざまなフラグが設定されており、謎解きの際のリアクションやセリフ、画面のテーマカラーなどが変化する。

 第1弾である『新・鬼ヶ島』も評価の高い作品だが、本作は演出面のパワーアップやアクション要素の強化など、ストーリーをより楽しく、面白く“魅せる”方向へと進化を遂げている。

 ちなみに本作はBGMの評価も高い。中華風な曲だけではなく、ときにシリアスに、とくにギャグテイストに変化する音楽の数々が場面を盛り上げてくれる。オリジナルの『西遊記』の世界観を存分に楽しむことができるようになっており、その没入感は本シリーズならではといえるだろう。

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