■4DX版で全身で体感するのがオススメ

 そこでこれから映画を見ようと思っている人に体感してほしいのが4DX版だ。映画のヒットを受け、2月16日からは4DX版の公開がスタートしており、先に挙げた戦場のシーンのみならず、野生動物とのアクションシーンや、物語後半の馬そりでのアクションシーンなどにあわせてシートが振動し、エンタメを全身で体感できる。

 今回は単行本3巻分の内容ということで、金塊を巡る戦いもまだそこまで本格的なものになっておらず、アイヌ文化にフォーカスがあたるシーンが多い。ヒグマやエゾオオカミはVFXと特殊造形を駆使して描かれるが、特に今回の映画の中でも何度も登場するヒグマの登場シーンも4DXでより間近に。畏敬の念を抱く存在として、または貴重な食料として、アイヌ文化とは切っても切れない存在なのだということが身を持って感じられる演出だ。

「クマ=人を襲う怖い存在」と思いがちだが、アイヌの人々にとってはあくまで自然の中でともに生きてきた存在。その丁寧な描かれ方にも感心してしまう。もちろん『ゴールデンカムイ』の代名詞でもあるアイヌ料理を食べるシーンも見ごたえがある。

 物語全体のダイジェストでなく、今回の映画ではあくまで序盤を丁寧に描くことを選択したことによって、丁寧にアイヌ文化を描くことができたのだろう。今後の、実写版『ゴールデンカムイ』の展開が楽しみになる第1作だ。

 エンタメ作品として気軽に楽しむもよし、しっかりとアイヌ文化について考えるもよしと、楽しみ方もたくさんある映画『ゴールデンカムイ』。体験するのは今からでもまだまだ間に合う。

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