■ディアナ様一筋すぎたけど…戦乱がなければゴールインしていた?
続いては1999年放送のテレビアニメ『∀ガンダム』より、ロラン・セアックとソシエ・ハイムのカップルだ。
ソシエはロランが最初に出会った地球人女性のひとりである。厳密にはカップルというほどの描写はないものの、終始ソシエがロランに想いを寄せている節があった。中盤ではロランへの当てつけとばかりに、一回り年上のギャバン・グーニーと付き合うなど、感情的に動くのもソシエの特徴だ。
ギャバンとの出会いと別れ以降、ロランとソシエの関係は特に目立った進展がなかったが、最終話「黄金の秋」の、それもエピローグになって急展開。
ロランは月の女王としての役目を終えたディアナを看取るため、ソシエの元を離れなければならない。具体的なセリフはないため、二人がどのような会話をしていたかは不明だが、雪の降りしきる中でソシエは涙を流し、そこにロランがキスをした後、車に乗り込むのだ。
そのときのソシエは普段の姿とは違ってしっかりと化粧をしており、去り際のロランは表情を見せない。車に先に乗り込んでいたディアナは、二人の会話を耳にしないように後部座席の窓から遠くを見ている。わずか数秒ではあるものの、別れの場面を細かい描写で演出した名シーンだ。
この後ふたりは破局したのか、それともディアナを看取りながら遠距離恋愛をしていたのか正確なところは不明。だが、メディアによってこの2人の結末は異なり、曽我篤士氏によるコミック版では、最終決戦の後、消息不明となったロランの帰りをソシエが待つ姿が描かれている。
一方で福井晴敏氏の小説『月に繭 、地には果実』では、ソシエはシド爺さんとの地質調査の旅に出る。そして、その調査の中でロランと再会し最終的に結婚にまでこぎつけている。
お似合いである一方、ロランのディアナ崇拝が凄まじく、どうなるのか全くわからないカップルではある。ソシエは気が強くはあるが思いやりのある女性であり、ロランさえ振り向かせれば仲睦まじく暮らしていけそうである。