最終話の屈指の名シーンも…戦争がなければ幸せだった? 歴代『ガンダム』破局してしまったカップルたちの悲恋の画像
『∀ガンダム』DVD第1巻より

『ガンダム』と恋愛描写は切っても切れない関係だ。戦時下ゆえの吊り橋効果によるものか、男女が次々に結ばれていくが、その一方で戦争のせいで別れてしまったカップルも珍しくない。そして、視聴者にはその二人の悲恋が印象に残るものだ。

 今回はそんな、戦火に引き裂かれてしまった悲しきカップルを紹介したい。

■極限状態でもなければ何不自由なく裕福に暮らしてそう?

 まずは1979年放送のテレビアニメ『機動戦士ガンダム』から、ミライ・ヤシマとカムラン・ブルームのカップル。

 地球連邦の元高官にして、ヤシマ重工社長の娘でもあるミライ。育ちの良い彼女は、同じくエリート家系のカムラン・ブルームの婚約者でもあった。

 だが一年戦争でスペースコロニー・サイド7がジオンの襲撃を受けたことで、ミライはホワイトベースに避難し、そこから正規乗組員に変わって操舵手を務めるようになる。そして物語中盤の第33話「コンスコン強襲」にて、中立コロニー・サイド6の監察官として働いていたカムランと再会を果たす。

 カムランは、サイド6に入港したホワイトベースへの武器封印を行い、さらにその修理を断るなど“ザ・お役人”といった仕事ぶり。軍人とは違い、背広を着た、いかにも弱々しい風貌ではあるものの、ミライの無事を誰よりも喜んでおり、彼女への思いは昔から変わっていなかったことがわかる。

 しかし、ホワイトベースのクルーとして最前線で戦ってきたミライと、官僚のカムランとでは価値観がすでに大きく違っていた。カムランは、彼女の身を心配してホワイトベースから降りて一緒に来るように言うが、ミライは戦争を他人事に捉えるカムランの考えや、親に頼りきりな部分を良く思わず。結局、二人はすれ違いのまま、ミライはカムランを振り、ホワイトベースへと乗り込んでいく。

 スレッガーに吹き飛ばされ、ミライには振られ、まったく良いところがないように見えたカムラン。だが、ミライのことを誰よりも愛し、最後は命を懸けてホワイトベースの先導を務めたりと、軍人とはまた違った行動力を見せていたキャラだった。

 カムランは、劇場用作品『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』にも再登場しており、そこでも元恋人としてミライの身を案じ、終身刑覚悟でブライトに核弾頭を託していた。

 もしも戦争がなければ、良き夫としてミライと結ばれていた人生があったかもしれない。

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