■繊細なグラフィックスと耳に残るBGMはいまなお色褪せない
本作の魅力はゲームシステムだけにとどまらず、グラフィックスも群を抜いています。スーファミの拡大縮小機能を活用したフィールドマップもそうですが、なにより目を引くのがバトルシーン。卓上に設けられたような狭いフィールドで、デフォルメされたさまざまな職業やモンスターが生き生きと戦うバトルシーンは、今見返してもとんでもないかっこよさ。
また、バトルでも強大な力を発揮するタロットカードのグラフィックスも非常に美しい。当時、購入特典でプレゼントされた実物のタロットカードは、手に入れた人が羨ましくなるほどでした。
サウンド面もいまでも耳に残るほどの名曲ぞろい。短いながらも長い戦いを予感させるタイトル画面に流れる「Overture」、反乱軍が意気揚々と進軍するさまを描いたという草原フィールドマップの「Revolt」や「Accretion Disk」、終盤の舞台となる雪原の「White Storm」などイントロさえ耳にすれば、そこから先を脳内で再生できるほど。
作曲したのは岩田匡治氏に崎元仁氏、松尾早人氏の3人ですが、『ユニコーンオーバーロード』では崎元氏が率いるベイシスケイプが担当しているとのことで、ここでも2作につながりを感じずにはいられません。
■『タクティクスオウガ』にだって負けてない!? 傑作SLGをぜひプレイしてみて欲しい!
『伝説のオウガバトル』は、『タクティクスオウガ』も手掛けたゲームクリエイター・松野泰己氏の作品です。
どちらも名作ですが、何度となくリメイクされた『タクティクスオウガ』は注目されることが多いものの、『伝説のオウガバトル』は現在実機でプレイするにはハードルが高く、いまひとつ注目度が低い気がしてなりません。
『タクティクスオウガ』で高く評価される「濃い物語」こそありませんが、多彩なユニットを育成して使いこなすRPG要素と、(死神部隊を運用できるようになると全部吹っ飛びますが)リアルタイムで敵味方の動きを把握しつつ攻略を進めるSLG要素が両立した面白さは『タクティクスオウガ』に勝るとも劣りません。
『伝説のオウガバトル』は、スーファミのほかにも、プレイステーションやセガサターンなどに移植されています。『ユニコーンオーバーロード』に触れて「1990年代のシミュレーションRPG」を体験したい方は、ぜひ『伝説のオウガバトル』を試してみてほしいと思います。