『十三機兵防衛圏』のヴァニラウェアが手がけた最新作『ユニコーンオーバーロード』(アトラス)を皆さんは楽しまれているでしょうか。3月8日に発売となった同作は、骨太なシミュレーションRPGであることに加え、大きなキャラがダイナミックにアニメーションするバトルが何よりの魅力。筆者もしっかりハマり、止めどきを見つけられず困ってます。
さて、ユニットを編成した部隊が戦うリアルタイム進行のシミュレーションRPGという『ユニコーンオーバーロード』を遊び、“あるゲーム”を思い浮かべたレトロゲームファンも多いのではないでしょうか。今回は今から31年前の1993年3月12日に、スーパーファミコン用ソフトとして発売された『伝説のオウガバトル』(クエスト)を振り返ってみたいと思います。
■スーファミで発売された本格派リアルタイムストラテジー
『伝説のオウガバトル』は、神聖ゼテギネア帝国の圧政から人々を開放すべく立ち上がった主人公となり、いくつもの部隊を率いて帝国に支配された地域を解放していくシミュレーションRPGです。
しかも『ファイアーエムブレム』のようなタイプのターン制のシミュレーションRPGではなく、当時のスーファミでは珍しい、敵も味方もリアルタイムで進行し、それを指揮しなくてはならないリアルタイムストラテジーでした。このあたりも『ユニコーンオーバーロード』と非常に似たシステムです。
敵とのバトルはユニットを編成した部隊単位で行われるため、どんな編成にするかが攻略の鍵となります。ひとりでも空を飛べるユニットがいれば移動が大幅に楽になる、なんてのは初歩の初歩で、特定のユニット同士を組ませることでシナジー効果が生まれたり、パラメータによって転職できるクラスが変化したりと、ユニットの育成と部隊編成を考えるだけでみるみる時間が解けていくほどでした。
しかし、それ以上に悩まされるのが「AIL(アライメント)」という能力値でした。
■汚れ仕事は「死神部隊」にお任せ! 建前のキレイさと現実の汚さを知った部隊運用法
AILはユニットの善悪を表すもので、ざっくり説明すると高ければ「善人」、低ければ「悪人」になります。
自分よりレベルの高い敵と戦えばAILは上がりますが、低いユニットと戦うことでAILはどんどん下がります。とはいえ、自分よりもレベルが高いユニットと戦うとなると苦戦は必至。ならば強くなろうと戦い続けると、自然とAILは低下します。そして困ったことに、AILが低い部隊で街や拠点を解放すると、「悪人たちが街を明け渡せと言ってきた」のような扱いなのか、民衆からの支持率を表す「カオスフレーム」が下がってしまい、バッド寄りのエンディングしか迎えられなくなってしまうのです。
ユニットを強くしたい。でもAILもカオスフレームも下げたくない。この矛盾を解決する方法が「死神部隊」という戦法でした。
特定の数部隊を集中して育成し、どんな敵と戦っても勝てる「死神部隊」を編制し、この死神部隊で敵拠点に居座るボス以外を全滅させます。拠点の解放やボス戦だけを主人公やシナリオに関わるネームドキャラを中心としたAILの高い“キレイな部隊”で行い、民衆の支持を集めるという戦術は、政治的な裏表とプロパガンダの恐ろしさを体感できます。ただ、やはり裏方の汚れ役という立場でありながら、バトルでは活躍しまくる死神部隊のほうに愛着がわいてしまうもの。
プリンセスにウィッチ、ビショップにヴァンパイアなど、実用かつレアなユニットで編成させたのは私だけではないと思います。