■名言も多いが下ネタも多い?

 時々名言が飛び出している点も、『ショムニ』の魅力だろう。印象的だったのは、人付き合いが苦手でうまく立ち回れない自分は子どもだと落ち込む塚原に対して、坪井が言った「子どもで悪いのか? バカはおべんちゃらで喜ぶけどマトモな奴は本心の見えない奴を嫌う。付き合う相手は自分で選べ。いつも愛想笑いしてっと本物に嫌われるだけだよ」というセリフ。自分を持っている坪井だからこそ言える、本質を突いた言葉だ。 

 そんな素晴らしい名言が飛び出す一方で、『ショムニ』には下ネタも多い。「女の価値はただ一点、男をどれだけ知っているか」という坪井のセリフもあるように、登場するキャラたちは、女性陣はおろか男性陣も性に奔放な一面があり、下ネタの表現も比較的ストレートである。

 そもそも、ショムニ内の序列が男性経験の多さで決まっているというから笑ってしまう。が、ダイレクトな場面はないうえに、どのキャラもあっさりしているので、変にいやらしく見えないのも『ショムニ』ならではの良さかもしれない。ちなみに、ドラマ版では改変されていて下ネタはほとんどなくなっている。

 平成と令和で女性の働き方は変わったけれど、『ショムニ』はいつでも読者に笑いと元気を与えてくれる作品だ。仕事で疲れたときや悩みを抱えているときに読めば、気持ちがスカッと晴れやかになるだろう。

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