2024年1月からTBS系で放送中の人気ドラマ『不適切にもほどがある!』。1986年を生きるおじさんが2024年にタイムスリップしてしまうところから始まるこの物語が、昭和ネタのオンパレードで話題を集めている。ドラマを見て、当時を懐かしんでいる視聴者も多いのではないだろうか。
「1986年」といえば数々のトレンドが生み出された年であり、テレビ業界も負けず劣らず話題性のある番組が目白押しで盛り上がっていた。
1月にはTBS系で『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』が始まり、4月にはフジテレビ系で特別番組として『志村けんのバカ殿様』がスタート。その他、5月には『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』(TBS系)が、10月には『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)がスタートするなど、数々の名番組が幕を開けた年でもあった。
また1986年は、テレビアニメでも誰もが知るレジェンド級の作品が次々に放送された“神年”なのである。そこで今回は、『ふてほど』で注目が集まっている1986年に放送が開始されたアニメ作品を振り返ってみよう。
■レジェンド作品といえばこれ!『ドラゴンボール』
まずは誰もが知る『週刊少年ジャンプ』の黄金期を牽引した、鳥山明氏の漫画『ドラゴンボール』。
原作も大盛り上がり中だった1986年2月26日に、フジテレビ系水曜日19時からスタートしたのは、前週の『Dr.スランプ アラレちゃん』の最終回のバトンを引き継いで始まった、同じく鳥山氏の漫画を原作としたアニメ『ドラゴンボール』だった。
原作同様、アニメもすぐに子どもたちの心を鷲掴みにし、放送翌日の学校での話題は『ドラゴンボール』の話で持ち切り。見ていないと話題についていけないほどの人気となった。
また、放送時間帯が水曜19時からというゴールデンタイムだったこともあり、平均視聴率も21.2%と高い。当時、家族でご飯を食べながら見ていたという人も多いだろう。
「元祖」などと呼ばれる初代『ドラゴンボール』では、原作第1話から第194話の第23回天下一武道会での悟空とマジュニアの決着までが描かれている。ストーリーは全体的に原作に沿っていたが、アニメが原作に追いつくのを防ぐために、悟空とチチのウエディングや天界修行といったオリジナルエピソードもところどころに含まれていた。
■管理人さんと五代くんの恋の行方にドキドキする人が続出した『めぞん一刻』
『ドラゴンボール』の放送がスタートした1か月後、1986年3月26日からはフジテレビ系水曜19時30分の枠で、高橋留美子さんの漫画を原作としたアニメ『めぞん一刻』の放送が始まった。2作品の系統は全く違うが、改めて振り返っても水曜19時からのアニメ帯は層が厚い。
フジテレビ系水曜19時30分では、前週まで同じく高橋さんの『うる星やつら』が放送されており、同じスタッフが制作を引き継いでいる。原作との設定の違いやアニメオリジナルのエピソードの挿入などもあったが、二人の恋の進み具合などに大きな違いはなく、なにより音無響子役の島本須美さんや五代裕作役の二又一成さんをはじめとした、声優陣の演技が情感たっぷりで素晴らしかった。
大きな違いといえば、『めぞん一刻』は青年誌『ビッグコミックスピリッツ』創刊号から連載された作品のため、大人の駆け引きや多少の性的描写も含まれていたのだが、アニメ版は子どもも見るということでそういったシーンがマイルドに改変されていた点かもしれない。
たとえば、“ラブホテル事件”があったときの五代のストレートな告白のセリフ「ぼくは、あなたしか抱きたくないんです」も、「ぼくの瞳の中にはあなたしかいないんです」となっている。