■いま連載していれば挑戦していた?『MAJOR』茂野吾郎の二刀流

 満田拓也さんが手掛ける『MAJOR』(小学館)の主人公、茂野吾郎はピッチャーでありながら打撃でも魅せた主人公だ。

 吾郎は学生時代は常に打線の中核を担い、メジャーリーグに挑戦してからも時折バッティングでチームを救う活躍をしている。たとえばマイナーリーグ編では0対6でチームが負けている場面で緊急登板し、後続をシャットアウト。次の回で打席が回ると、相手ピッチャーの配球を読んで2ランホームランを決めてみせた。

 しかし、現実はもっととんでもない。投げて打てる野球選手といえば……言うまでもない、大谷翔平さん(現:ロサンゼルス・ドジャース)だ。2023年にメジャーでピッチャーとして10勝をあげ、バッターとしては44本塁打で日本人初のメジャー本塁打王に輝いた、世界に誇る「二刀流」である。

 吾郎もメジャーでサイヤング賞を獲得した超一流だが、「二刀流」としてはさすがに大谷さんに譲るだろう。

 とはいえ、吾郎は高校時代に「オレが理想とする究極のプレーヤーは…打って走って守れ――そして三振もとれるプロ野球選手さ!!」と豪語している。もし『MAJOR』が令和に連載されていれば、吾郎も二刀流に挑んだのではないだろうか。

 

 トレーニングや技術の発展が続く限り、野球の進化は止まらないだろう。時代が進めば進むほど、名作漫画で描かれた活躍は古いものになっていく。これは仕方のないことだ。

 だが、読者をワクワクさせた主人公たちの輝きが色あせるわけではない。プロ野球ではよく「記録より記憶に残る選手」という言い回しが使われるが、野球漫画の主人公はまさにそれだ。
 現実に記録を超えられようと、彼らの雄姿は読者の記憶に残り続ける。この記事をきっかけに、あなたも「あのキャラはすごかった」と思い出してもらえたら幸いだ。

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