■3匹のこうもりの恐怖『高橋名人の冒険島』
続いては、1986年にハドソンから発売された『高橋名人の冒険島』。16連射でおなじみの、当時大人気だった高橋名人を主人公とした横スクロール型アクションゲームだが、こちらもその驚異的な難易度から子どもたちを絶望に突き落としたタイトルだ。
まずこのゲームは、敵に当たったら死ぬという仕様。そのうえ、初期は石オノやマジカルファイヤーという武器を取らないと、敵に攻撃する手段すら持てない。さらに、途中ではスケボーというアイテムが入手できるが、これに乗ると止まることができないため、強制スクロール化してしまうというトラップめいたアイテムもある。
そして、このゲームの鬼難易度たるゆえんは、その敵の配置にある。プレイヤーが動くと動き出す敵、ジャンプしたちょうど先に待ち構える敵など、配置が実にいやらしい。中でも恐怖のどん底に突き落としてきた敵が、エリア8にいる通称「3匹のこうもり」。ここでは乗ると落下していく足場をジャンプで乗り継いでいくのだが、各こうもりがジャンプした先に待ち構えており、足場を乗り越えることばかり気をとられると間違いなくやられてしまう。足場が沈むギリギリまで我慢し、斧を打ちながら次の足場へ移る。端まで辿り着くまでつい息をするのさえ忘れてしまう「鬼エリア」だった。
■敵の弾が見えない、開始即終了の悲劇
最後に紹介するのは、1986年にタカラから発売された『トランスフォーマー コンボイの謎』だ。同社より発売された玩具『トランスフォーマー』と、それを原作としたテレビアニメ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』を題材としたアクションシューティングゲーム。当時大人気だった『トランスフォーマー』のゲームということもあり、多くの子どもたちが手に取ったタイトルだが、その難しさで困惑した人も続出したに違いない。
このゲームにまず待ち構えている難関は、電源を入れてスタートボタンを押し、ステージ開始して数秒でやられてしまうというところ。
ステージ開始とともにいきなり敵の弾が飛んでくるということも珍しいが、さらにその弾がほとんど見えないというところもなかなか過激。ゲーム開始十数秒でゲームオーバーになることさえある。
ファミコン時代は今とは違い、ゲームを買ってもらえる機会は少なく、親にどのソフトを買ってもらうか非常に悩んだもの。そんな、せっかく手に入れたゲームだけに、どんなに難しかったとしてもけっしてコントローラーは投げず、なんとか攻略法を見つけたという人がほとんどだろう。
また制作者側に立ってみれば、すぐにクリアして終えてしまうのではなく、少しでも長く子どもたちにプレイしてもらうために、難易度を少し高めにしていたのかもしれない。レトロゲームブームの今、あの頃はクリアできなかったこれらのソフトを、久々にリベンジしてみるのはいかがだろうか。