「アシくんすまん」「鬼か!」『ろくでなしBLUES』『ROOKIES』人気漫画家・森田まさのり氏が「すごすぎる元原稿」を連続投稿して“謝罪”の画像
画像は森田まさのり氏のX

 漫画『ろくでなしBLUES』『ROOKIES』『べしゃり暮らし』(すべて集英社)などで知られる漫画家の森田まさのり氏がX(旧Twitter)を更新。2月18日から21日にかけて、アシスタントに対する謝罪を投稿し話題を集めている。

 森田氏は「アシくんすまん」と、数日にわたって5種類の漫画原稿の画像を投稿している。これは、通常はコマの中に絵を収めるところを、迫力のある画面づくりのためにアシスタントにわざと絵を誌面の端まで大きく描いてもらったものの、誌面掲載の際に印刷の関係上で枠外の絵が切れてしまうという、「タチキリ」の犠牲を謝罪するものだった。

 タチキリについて森田氏は「タチキリの絵がどのへんまで入るかは、作家は実は大体わかってて、矢印のワク線がある限り、担当編集さんはそこに全体の大きさを合わせるしかないのです。切れるの分かってて描いてもらってます。鬼か! なので、アシくんすまんという…」と投稿。森田氏は実際は、発注時の段階でどこまでが不要になるか分かっており、それでもあえてアシスタントに枠をはみ出す分まで絵を描かせていたという謝罪だ。

 森田氏がアップしたものは、たとえば『ろくでなしBLUES』の大阪抗争編での1ページで、元原稿ではしっかりと描きこまれた大阪・新世界の商店街の絵の一部が、誌面では切り取られて掲載されている。その他には『ROOKIES』での試合観客席に集まった応援客の一部や、試合中の安仁屋恵壹の顔、また『べしゃり暮らし』での料理の絵の一部など、細かく描き込まれていた原画がコミックスでは切られていることが今回の投稿で明かされている。

 元原稿の背景はいずれも迫力のあるものばかりで、森田氏は15日には、「アシスタントくんがせっかく頑張って原稿用紙の端っこまで描いてくれたのに、印刷で断ち切られて陽の目を見ることのなかった素晴らしい背景をいつか見てもらいたい。」とも投稿している。

 Xでは「こんなに丁寧に描きこんでくださって…見れて嬉しいです!」といったコメントや、「背景書き込み凄」「すげえ!」「原画展をやってほしいです」「アシスタントのかたのこういった丁寧な作業があるおかげで、テーブルの上にちゃんと何品もおかずがあるように読者に届いております」といった声が寄せられている。

 読者が知る方法がなかった枠外の絵について、今後明かされる日が楽しみなところだ。

■「なかったことにしたい」シリーズも恒例に

 森田氏といえば、これまでもXでクスッと笑える謝罪をすることが多く、たびたび話題を集めている。

 自身の過去作のワンシーンを取り上げる「なかったことにしたい」シリーズのポストも恒例になっており、たとえば『ろくでなしBLUES』のワンシーンで背景を間違えてしまったというミスや、『ROOKIES』でスピードガンに表示される球速をマイルとキロを間違えてしまったためにとんでもない球速になっているミスなど、自身の作画ミスや設定ミスなどを自ら面白おかしく指摘している。

 今回の「アシくんすまん」も、もともとは12日に投稿された「なかったことにしたい」シリーズのひとつで、『ROOKIES』の試合エピソードで描かれた客席の女性がタチキリの都合でアップになって印刷されてしまい、モブキャラであるはずが妙に目立ってしまったことを自虐的に扱ったポストだった。

 しかし、時には本気で当時を後悔することもあるようで、自身の作画力の低さや、セリフのニュアンスなどを「ああしておけばよかった」と振り返ることもあるようだ。

 ファンからすれば気にならないような間違いやミスがほとんどだが、いまだに作者自身がコミックスや原稿を見直し、当時を振り返るという点において、森田氏の漫画に対する誠実さが感じられる。

 もし手元に該当作品を持っている人は、森田氏のXと照らし合わせてみると、笑えるミスとともに、作者の葛藤や悩みを感じられるかもしれない。

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