1月26日に公開された劇場用アニメ『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が、公開から3週間で興行収入31億2630万円を突破。歴代の劇場版ガンダムシリーズの最高記録を塗り替え、どこまで伸びるか注目を集めている。
『機動戦士Vガンダム』のカテジナ・ルースや『機動戦士ガンダム0083』のニナ・パープルトンなど、『ガンダム』シリーズでは作中での言動からファンから「悪女」と呼ばれる女性キャラクターがおり、『ガンダムSEED』のフレイ・アルスターもまた、そのうちの一人として挙げられることが多い人物。
映画の公開を前にテレビシリーズの『機動戦士ガンダムSEED』を見返したという人も多いと思うが、今回は改めてフレイについて考えてみたい。不人気ヒロインのような扱いを受けることも多いが、はたして彼女は本当に悪女だったのか。
■フレイ・アルスターとはどのような人物か
最初に、フレイの生い立ちや作中での行動を再確認したい。
フレイ・アルスターは主人公であるキラ・ヤマトと同じカレッジに通う、1期後輩にあたる15歳の美少女。キラはひそかに好意を持っていたが、彼女はキラの友人であるサイ・アーガイルと婚約関係にあった。
父親はブルーコスモスの一員で、大西洋連邦事務次官でもあるジョージ・アルスター。母親は幼少期に他界している。父親から大事に育てられたお嬢様であり、そのためかワガママな性格をしている。ブルーコスモスについて簡単に説明すると、過激な反コーディネイター(遺伝子操作されて産まれた人間)団体であり、父の影響を強く受けているフレイもコーディネイターを毛嫌いしている。
そんなフレイはガンダム3大悪女の1人だとネットでは言われることがあるが、その理由は、彼女の自己中心的でワガママな性格だけでなく、恋仲になってキラを利用したことにあるだろう。
フレイは父のジョージ・アルスターをザフト軍に殺されてしまい、コーディネイターを憎むようになる。そして、キラと恋仲になり肉体関係を持ったあと、彼の力でコーディネイターを倒してもらおうとしたのだ。
しかも、婚約者であるサイが同じ艦に乗っているにも関わらず、だ。憎いコーディネイターを倒してもらうためにコーディネイターのキラに抱かれて利用する。天涯孤独になったゆえの自暴自棄とも言えるような行動だ。
このように非常に人間臭いキャラクターであり、生々しい言動や描写も多い。
また、もう一人のヒロインであるラクス・クラインの存在も大きいだろう。「父親の社会的地位が高い」「父親が作中で死亡する」「母親は不明だが未登場」という同じような境遇でありながら、ラクスは聡明かつ超然としている。そのためフレイの人間臭さや精神的な未熟さがどうしても目立ってしまうのだ。
■最後は改心…本当に悪女だったのか?
女性としての魅力を利用し、力ある男をたぶらかし、自分の目的のために利用する。
これらが彼女が「悪女」と呼ばれる大きな理由かもしれないが、さらにコーディネイターに対しての過激な発言、アークエンジェルでのトラブルメーカー的な面もある。しかしながら、フレイは悪女にはなりきれなかった女性だったのではないか。
最初は利用していたつもりだったキラの近くにいるうちに、彼の心情が理解できるようになってしまう。本心ではサイが好きだとフレイ本人は思っていたが、無意識下でキラに惹かれていた。自分の考えていることと心の動きが食い違ってしまっているのだ。
終盤になっていくと、フレイはキラとの関係や戦争を通じて自分の行いを反省する。キラたちに謝り、和解しようとしていたが、その願いは叶うことなく最終話で命を散らすことになる。
フレイは自分の差別的な思想、キラを傷つけたこと、いかに自己中心的であったのかを自覚した。遅すぎたかもしれないがしっかりとした成長が描かれていた。