■羽川翼に顕現した怪異「障り猫」『化物語』のブラック羽川

 最後は、西尾維新氏の小説『化物語』に登場した物語シリーズのメインキャラの一人、「猫に魅せられた少女」羽川翼だ。

 2009年よりテレビアニメ化された同作で、眼鏡・三つ編みおさげという真面目そうな外見で描かれる羽川翼は、成績優秀な超優等生。先生からの評価も高く、学校中の人々から特別視されている。しかも、作品トップクラスのナイスバディだ。

 一方で、羽川翼は居場所のない家庭という地獄のような家庭環境の中で生きてきた。真面目で人目を気にする性格ゆえ誰かに相談することもできず、完璧な優等生を演じながらも心の中はストレスでいっぱい。さらに恋もうまく行かず、精神の限界を超えていた。

 そんな羽川翼に顕現した怪異が「障り猫」である。自分を押し殺してきた翼にとって、「障り猫」は自由で攻撃的で魅力的な存在。彼女は怪異と融合し、「ブラック羽川」と呼ばれる新たな人格を生み出て気ままに暴れまわった。

 ブラック羽川は、長い白髪に猫耳・猫のようなつり目・妖艶な表情と羽川翼よりも大人っぽくセクシー度も高い。エナジードレインを持っているものの単体での力は弱いが、羽川の頭の良さが活かされることで、よりいっそう強力な怪異となった。

 猫の怪異ゆえ「ナ」を「にゃ」と発音するのも特徴の一つだ。作中では、阿良々木暦が「斜め七十七度の並びでなくなくいななくナナハン七台難なく並べて長眺め」というナ行早口を言わせているシーンもある。「にゃにゃめにゃにゃじゅうにゃにゃどのにゃらびで……」と頑張るブラック羽川の姿は、ファンのハートを打ち抜いた。

 ほかにも、『とある魔術の禁書目録』の土御門元春や『ポケットモンスター』のニャース、『HUNTER×HUNTER』のネフェルピトーなど、性別・種別問わず多くの「猫キャラ」がいる。全員に共通して言えるのは、語尾が「にゃ」の人物はかわいく見えるということだ。

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