『ポパイの英語遊び』に『ドンキーコングJR.の算数遊び』も…ファミコン全盛期に発売された「悲しきお勉強ゲーム」の画像
ファミコンソフト『ポパイの英語遊び』(任天堂)

 ファミコン全盛期には数多くの名作ゲームが世に放たれたが、一方で当時からゲームと“勉強”を紐付けた、学習ソフトも登場していた。「親からファミコンソフトを買ってもらったのに、なんだか嬉しくない……」そんな思いをした人もいるだろう。

 そこで、遊びながら楽しく勉強ができると話題になったファミコンソフトについて見ていこう。

■学べる英単語は本格派? 『ポパイの英語遊び』

『ファミコン』といえば任天堂から発売されたゲームハードだが、同社は当時から“教育”に活用できるゲームソフトの開発を試みており、有名なキャラクターがコラボもした作品も多かった。

 1983年に発売された『ポパイの英語遊び』もまさに有名キャラとのコラボ作品の一つ。アメリカの有名漫画『ポパイ』の世界観をそのままに、さまざまな英単語を学習することができる。

 同年にアクションゲームとしての『ポパイ』が発売されているのだが、この『ポパイの英語遊び』は前作をベースに、新たに学習ソフトとして生まれ変わった一作となっている。

 モードは大きく分けて3種類。「WORD PUZZLE A」ではジャンルを選び、ポパイを操作しながら次々と表示される英単語の“穴埋め”をこなし、正解を導き出していく。

「WORD PUZZLE B」は基本的には「A」と同じだが、難易度が上がって日本語訳などのヒントがいっさいない状態に。

 そして「WORD CATCHER」モードは打って変わって二人同時プレイとなっており、上空から降ってくるアルファベットを集めて、画面左端に表示されているカタカナに該当する英単語を作り上げるというもの。相手よりも早く5つの英単語を完成させたほうが勝者となるため、的確な答えを導き出す頭脳とアルファベットをキャッチするスピーディーな操作が必要となってくる。

 一人で黙々と英単語を勉強できるだけでなく、二人プレイを活用することでより楽しく学習できるのは、ゲームならではの面白い点だ。既存ゲームをベースにしたということもあり、学習ソフトとしては非常に完成度の高い一品といえるだろう。

 しかし、なかには“リス(SQUIRREL)”のような日本人には馴染みのない単語もあったりと、大人であっても完全攻略はなかなか難しい。当時、途中でさじを投げてしまった人も多いのではないだろうか。

■体も使って計算チャレンジ! 『ドンキーコングJR.の算数遊び』

 実に個性豊かな面々が揃う、任天堂作品のゲームキャラクターたち。なかでもドンキーコングといえば、国民的人気キャラ・マリオの宿敵として登場した非常に知名度の高いキャラクターだ。

 その高い人気から、のちに彼の息子が活躍する『ドンキーコングJR.』なる一作が登場するのだが、1983年にはこれをベースに『ドンキーコングJR.の算数遊び』という学習ソフトが作られている。

 実は本作、前述の『ポパイの英語遊び』に続く教育ソフトの第2弾で、今回もベースとなるゲームの世界観はそのままに、遊びながら“算数”を学習することができるようになっているのだ。

 本作は大きく分けると、二人プレイ用(一人プレイも可)のモードである「CALCULATE」と、一人プレイ用のモード「+-×÷ EXERCISE」で構成されている。

「CALCULATE」は、ステージに散りばめられた数字と四則演算の記号を組み合わせ、画面上部にいるドンキーコングが掲げる答えになるよう計算式を作り上げていく。それぞれのプレイヤーが交互に数字や記号を選んでいき、先に式を完成させて5ポイントを先取したほうが勝者となる。

 このモードには0から式を作り上げる「A」と、最初から解答欄に数字が入った状態からはじまる「B」と、2つの難易度が用意されている。

 一方、「+-×÷ EXERCISE」は一人で計算式に挑戦する形となり、さまざまな桁数の四則演算のなかから挑戦するジャンルを選び、繰り出される計算式の答えを次々に回答するというもの。

 どのモードも単純に解答するだけではなく、鎖を上り下りしたり飛び移ったりとアクションを交えて答えを導き出していく必要がある。“算数”と“アクション”を融合することにより、新たな学習の形を切り開いた意欲作と言えるだろう。

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