■衝撃の実写版”タマミ”!スプラッター満載の『赤んぼ少女』
最後は、1967年から『週刊少女フレンド』で連載が始まったホラー漫画の巨匠・楳図かずおさんの漫画『赤んぼ少女』の実写版。
同作は、赤ん坊の姿のまま成長した南条タマミが、母の愛への執着や南条家の娘・葉子への嫉妬心によって殺意を抱き、襲い掛かるというストーリー。タマミの外見は確かに恐ろしく、常軌を逸した行動も酷いのだが、切ない感情も描かれており、怖いだけではない深みを感じる名作だ。
実写映画が公開されたのは2008年と比較的最近のことで、タマミと葉子が双子だったりと原作と設定の違いもある。最も大きな違いはタマミだろう。原作のタマミは会話を通じて気持ちを表現し、人としての心も見せてもいたが、映画版はそういったシーンが控えめで、呻きながらどんどん殺戮を繰り返していく。
この凄惨な殺戮シーンやタマミの化け物のような形相が非常に怖い。アクティブに動き回り相手を追い詰める様は、原作よりもホラーらしいと言えるかもしれない。
豪華なキャスト陣も同作の魅力で、特に、タマミに歪んだ愛情を持つ母親役の浅野温子さんの演技は必見で、公開当時は「タマミよりも怖い」と口コミで評判を集めた。さらに、吉村高也役として若かりし頃の斎藤工さんがフレッシュな演技を見せている。
ホラー漫画の実写化といえば、怪物や幽霊がリアルなほど怖さが増すものだが、今回紹介した実写化作品たちはひと昔前に制作されているため、今の映像技術と比べると見劣りしてしまうかもしれない。しかし、あの時代の作品でしか味わえない怖さというものもあるのだ。