『妖怪ハンター』に『恐怖新聞』、『赤んぼ少女』浅野温子さんの恐怖演技も…実は「実写化」されていた! 巨匠たちの懐かしホラー名作漫画の画像
画像は講談社文庫『楳図かずお 赤んぼ少女』(講談社)

 おどろおどろしい絵と次々に展開する恐怖のストーリーで、昭和の子どもたちにトラウマを植え付けたホラー漫画。インパクトの強いシーンの数々が、今でも頭に残っているという当時の読者も多いだろう。

 実は、後世に名を残す作家たちが生み出した作品の中には、実写化されていたものがある。今回は、そんな昭和ホラー漫画の実写化作品を見ていこうと思う。

■ジュリー熱演!塚本監督の初期作『ヒルコ/妖怪ハンター』

 まずは、『鉄男』『野火』の塚本晋也監督によるメジャーデビュー作品である1991年の映画『ヒルコ/妖怪ハンター』から。

 同作は、主人公の考古学者・稗田礼二郎が各地に伝わる伝承や怪奇事件に挑んでいく諸星大二郎さんの漫画『妖怪ハンター』を原作とした映画で、あらすじは、短編集『海竜祭の夜』に収録される『黒い探求者』と『赤い唇』に脚色を加えたものだ。

 稗田役を演じたのは、歌手の沢田研二さん。ある日、「学校で古代人が化け物を封じるために作った古墳を発見した」という手紙をもらった稗田は調査に向かい、怪異に憑りつかれた学生とともにお手製の妖怪退治アイテムを駆使して“ヒルコ”という化け物に立ち向かう。

 見どころの一つが、沢田さんの素晴らしい演技だろう。怖がりでポンコツながら恐怖に立ち向かう姿は応援したくなるし、逆にカッコよくすら見えてくるのである。なお、2005年には『妖怪ハンター』シリーズの「生命の木」を原作に映画『奇談』(小松隆志監督)が公開され、そのときは阿部寛さんが稗田役を務めている。両作の稗田を比べて見るのも面白そうだ。

 さらに『ヒルコ』では、稗田に手紙を送った八部高史を演じた竹中直人さんも要注目。真っ白な顔から化け物の手足が生えた姿で襲ってくるシーンは、ゾクゾクしてしまう。なお竹中さんは『ヒルコ』が公開された1991年に、つげ義春さんの同名漫画を原作に映画『無能の人』で初の監督を務めている。諸星大二郎さんにつげ義春さんと、「まさか映画化されるとは」と当時の漫画ファンの多くが思ったに違いない。

■オカルトブームの火付け役にもなったつのだじろうさんの『恐怖新聞』

 1970年代の日本は、空前のオカルトブームに湧いていた。その一端を担っていたのが、1973年から『週刊少年チャンピオン』で連載されていたつのだじろうさんの漫画『恐怖新聞』だ。

 悪霊が配達する「恐怖新聞」は、未来予知やオカルトの真実が書かれているが、1日読めば寿命が100日縮まるという代物で、多くの子どもたちに「恐怖新聞が届いたらどうしよう」という恐怖心を与えた。

 実写映像化されたのは1996年と2011年の2回あり、どちらもあらすじとしては、突然「恐怖新聞」が届けられた主人公の数奇な運命を描くというもの。『恐怖新聞II』をベースにした1996年版はオリジナルビデオ作品としてリリースされ、鬼形礼を小橋賢児さんが、本堂祐子を中山博子さんが演じていた。

 ゴア描写やリアリティのあるホラー描写はないが、しっかり怖い。原作者のつのだじろうさんが、ちらりとカメオ出演している点にも注目だ。

 2011年版では、AAA與真司郎さんが鬼形礼の甥っ子・鬼形経を演じている。「恐怖新聞」が届くという筋書きだが、1日読むと1年寿命が縮まるなど、原作とはいろいろと設定が変わっている。ホラー作品ではあるがエンタメ色が強く、怖いものが苦手な人でも見られる作りとなっている。

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