『パワプロ』にも『ファミスタ』『燃えプロ』にも負けてない!変わり種「ファミコン野球ゲーム」の超個性的システムの画像
ファミコン時代のスポーツゲーム(編集部撮影)

 2月14日に放送されたNHKのゲーム教養番組『ゲームゲノム』では、今年で誕生から30周年を迎える野球ゲーム『実況パワフルプロ野球』シリーズ(コナミ)を取り上げ、その長い歴史の中で行われた試行錯誤の道のりをたどった。元中日ドラゴンズの川上憲伸氏をVTRゲストにした、同シリーズの特徴でもある「能力査定」についてのコーナーや、「サクセス」「栄冠ナイン」の解説など、スーパーファミコンから歴史をスタートさせた『パワプロ』の魅力を掘り下げた。

 家庭用ゲーム機の発展とともに進化していった「野球ゲーム」。長年続くシリーズとなった『プロ野球 ファミリースタジアム(ファミスタ)』(ナムコ)や、合成音声によるボイスで盛り上がった『燃えろ!!プロ野球』(ジャレコ)など、地上波テレビでのプロ野球中継が当たり前だったファミコン時代には、発売された野球ゲームは実に50本以上。当然その中には、「ちょっと変わった」野球ゲームソフトもあったものだ。

 今回はファミコンで遊べた、インパクトが抜群だったオンリーワンな魅力を誇る、変わり種のシステムを採用していた野球ゲームを3本厳選してご紹介しよう。

■あらゆる部分がリアル重視『スーパーリアルベースボール’88』

 まずはバップから1988年に発売された、リアルさが売りの野球ゲーム『スーパーリアルベースボール’88』だ。

 どこがリアルなのかというと、まずは「選手名が実名」なこと。現在では各球団の選手たちが実名でゲームに登場するのは当たり前となっているが、当時は実際の選手をもじった名前のキャラが登録されており、たとえば『ファミスタ』では、読売ジャイアンツの桑田真澄選手が「ガイアンツ」の「くわわ」だったり、ウォーレン・クロマティ選手が「くろまて」だったりした。

 そんな中で同作は、日本野球機構公式の許諾のもと、全12球団を実名で使用。テレビCMではクロマティ選手が出演し、ゲームのオープニング画面には、当時完成したばかりだった東京ドームが「TOKYO DOME」と名前入りで堂々と登場する。カセット裏に大きく書かれている「プロ野球12球団面白認定ゲーム」のキャッチ通り、実際のプロ野球そのままのデータが盛り込まれていたことは高く評価されるところだろう。

 他には、オート操作が少ないことも「リアル」な点。内野手に球を送球した際、捕球のタイミングでAボタンを押さないと、球を取り損ねてしまうのだ。

 打者に関しても、最初からバットを構えているわけではなく、ボタンを押してバットを構えるところから操作しなければならない。他にも投球時の操作など、やることは満載だ。2023年現在でも、野球ゲームは増え続けているが、これだけ操作の多いゲームは、なかなかないだろう。

■打球で野手をK.O『超人ウルトラベースボール』

 続いては『スーパーリアルベースボール’88』とは打って変わって、リアルさを追求しないことで驚きの演出を盛り込んだ野球ゲーム『超人ウルトラベースボール』(1989年、カルチャーブレーン)だ。

 同作に登場する投手たちはさまざまな魔球が使える。野球漫画でも定番の「消える魔球」はもちろん、普通に打つとバットが折れてしまって打てない「アイアンボール」や、4つに球が分身する「分身魔球」といった、個性的な魔球が数多く使えるのだ。

 投手だけでなく、野手の移動速度がアップする「スーパーチャージャー」や、打った打球が爆発する「爆発打法」、はるか上空のボールもキャッチする「ロケットジャンプ」に、返球がすさまじいスピードになる「ハイパースロー」など、打撃でも守備でも必殺技が用意されている。

 バランスはさぞかし大味かと思いきや、各技は、 他の技で対策できるような作りになっている。そのため、見た目ほどおおざっぱなバランスにはなっておらず、しっかりゲームとして楽しめる。同作はスーパーファミコン以降シリーズ化されており、昨年6月には『スーパーウルトラベースボール』(1991年)が、Nintendo Switch Onlineでも配信開始となった。レトロゲーム時代の良作野球ゲームを家族友人とプレイしてみてはいかがだろうか。

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