■育成型野球ゲーム『バトルスタジアム 選抜プロ野球』
最後は1990年にアイ・ジー・エスから発売された『バトルスタジアム 選抜プロ野球』を振り返りたい。
同作は、『スーパーリアルベースボール’88』のようなリアル感を売りにしているわけでもなければ、『超人ウルトラベースボール』のような魔球も登場しない。わりとオーソドックスな野球ゲームであるのだが、この『バトルスタジアム 選抜プロ野球』の最大の特徴は、RPGのように、試合ごとに選手のパラメータが上がっていくことである。
そして、もう1つの特色として「エディット機能」がある。同作には歴代の480名の選手データが登録されており、その中から好きな選手を編成して自分だけのオリジナルチームを作れる。球団の垣根を超えた夢のチーム編成も可能だ。
とはいえ、実は編成したオリジナルチームは最初かなり弱い。当時の現役選手からプロ野球黎明期のレジェンド選手まで編成することも可能だが、どの選手も、最初はRPGでいう「レベル1」なのだ。そのため、まずは「とうばつ」モードで優勝を目指し、チームを育成していくことになる。
「とうばつ」モードは、負けても経験値が加算されるシステムなので、最初は選手が弱くて勝てなくとも、試合を重ねると勝てるようになってくる。逆に、野球ゲームが苦手な人も、試合を重ねていけば、強化された選手の性能によって勝つことも可能ということだ。
そう考えると、アクションが苦手な人でもある程度は楽しめるし、選手が育っていくという要素は、試合を繰り返す甲斐があるシステムだ。スポーツゲームとRPGの相性は、意外といいのかもしれない。
もうひとつ、付属のバトルボックスにデータを記録することで、友だちの育成チームと戦うことができるという機能もあった。何かと新しいシステムが盛り込まれた斬新な野球ゲームと言えるのではないだろうか。
ファミコンの野球ゲーム50本以上の中でも、個性が強い変わり種の野球ゲームを3本紹介した。どれも強烈なゲームなので、思い出に残っている人もいるのではないだろうか。