■愛くるしさと怖さを併せ持つ平成最後の鬼太郎…『アニメ第6期』
2018年から放送された『ゲゲゲの鬼太郎』アニメ第6期はテレビアニメ化50周年を記念する作品で、「人と妖怪の距離感」や「多様性の在り方」といったテーマを内包した一作となっている。
“SNSや配信サイトの闇”や、“会社におけるパワハラ”といった現代社会の裏側が描かれることも多く、妖怪絡みのエピソードも含め視聴者に“トラウマ”を植え付けるシーンも少なくはない。
今まで以上にダークな雰囲気を漂わせた第6期。本作の鬼太郎はビジュアルこそ変わらないが、今まで以上にクールかつ中性的な雰囲気を纏っている。基本的には歴代の鬼太郎同様、人間を守るために身を挺して戦うのだが、一方で人、妖怪ともに己が信じる「正義」に反した存在を即座に切り捨てるという冷酷無比な一面も見せており、“悪”に対して容赦がない。
こういった背景からかバトルでも過激な戦い方が目立ち、“ちゃんちゃんこを腕に巻き付けて殴り飛ばす”、“リモコン下駄の力を活かして直接蹴り上げる”など、肉体を使ったパワフルな攻撃も多く、今まで以上に迫力のある壮絶な戦いを繰り広げていた。
また、なんと本作では妖怪を欺くため、メイド服を使った“女装姿”までも披露。過去のシーズンでも女装姿自体は披露していたが、第6期では変装マスクまで活用し、目も覚めるような美少女へと変身している。
正体を現した途端、“闇”を纏った姿に戻る鬼太郎の二面性は必見。本作で鬼太郎を演じた声優・沢城みゆきさんの声質と演技も相まって、可愛らしさと恐怖の凄まじいギャップを体感できるエピソードとなっている。
これまで以上に明確な“光”と“闇”を併せ持つ、なんとも挑戦的な“鬼太郎像”といえるだろう。
妖怪でありながら人間を守るために戦うヒーロー然とした姿が特徴的な鬼太郎だが、作品によっては思いもよらぬテイストのキャラクターとして読者や視聴者をおおいに驚かせてくれる。時代ごとに変化していく鬼太郎の姿を、ぜひご自身の目で確認してみてほしい。