名作「怪獣使いと少年」だけじゃない! 令和にこそ観たい『昭和ウルトラマン』の問題回の画像
『帰ってきたウルトラマン大怪獣図鑑』(双葉社)

 2024年より本格スタートした『空想特撮シリーズ ウルトラマン』プロジェクト。創立60年を迎えた円谷プロが『ウルトラマン』の魅力を「空想」をキーワードに楽しんでいく新プロジェクトだ。

 一方、ウルトラマンシリーズのなかには、過激な内容で空想を楽しむだけでは終わらない、語り継がれるような奥深いテーマ性を持つエピソードがいくつもある。そこで今回はそのなかから厳選し、『昭和ウルトラマン』の「問題回」を紹介していく。

■暴徒となった住人が少年に襲いかかる「怪獣使いと少年」

『ウルトラマン』シリーズ屈指の問題作と言えば、1971年放送の『帰ってきたウルトラマン』第33話「怪獣使いと少年」だろう。観終わった後に、本当に恐ろしいのは宇宙人や怪獣などではなく、我々人間ではないかと思ってしまうような回だった。

 河原で穴を掘り続ける少年・佐久間良は「あいつは宇宙人だ」と疑いをかけられ、不良の中学生からは壮絶ないじめを、さらには町ぐるみでの差別を受けるようになっていた。良自身は正真正銘の人間なのだが、実は彼が廃墟でかくまう「金山」というおじさんが宇宙人・メイツ星人だった。

 金山は地球環境を調査するために飛来し、天涯孤独だった良を怪獣ムルチの襲撃から守った、心の優しい宇宙人だ。そして、金山自身が地球の汚染された環境により衰弱してしまったため、2人は親子同然で肩を寄せ合いながら暮らしていた。良はいつも河原で穴を掘り続けていたのだが、これは衰弱した金山の代わりに、彼が地中に隠した宇宙船を掘り起こそうとしていたからであった。

 2人はただ街はずれで静かに暮らしているだけなのだが、住人たちの2人に対する不信感は高まるばかり。やがて「宇宙人を追い出せ」と暴徒となり、良に襲いかかっていく。防衛組織「MAT」の隊員で、ウルトラマンの正体でもある主人公の郷秀樹が制止に入るが、住人たちはおさまらず、それに耐えかねた金山は住人の前に立ち「自分が宇宙人である」と告白。その末、住人たちの中にいた警官により射殺されてしまう。

 ただ、これで事態はおさまらなかった。金山が死んだことで怪獣ムルチの封印が解かれ、街が破壊され始めてしまうのだ。先ほどまで暴れまわっていた住人たちは一転、郷に「頼む! 早く怪獣を退治してくれよ!」と、身勝手な要求をしてくる。

 さすがの郷も「勝手なことを言うな。怪獣をおびき出したのはあんたたちだ」と一時は戦うことを放棄するほどだったが、最終的にはウルトラマンとなり怪獣ムルチを倒して決着となった。

 無実の人物を、「宇宙人は怪しい」という思い込みだけで追い詰め、死に至らしめてしまう――。この33話は、終始人間の醜さを凝縮したような展開が印象的だ。ラストに一人残された良は、「おじさんは死んだんじゃない。メイツ星へ帰ったんだ。だから自分も宇宙船でメイツ星へ行くから、その時は迎えに来てくれ」と、河原で穴を掘り続ける。その姿は非常に切ないものがあった。

■人間は先住民なのか? 侵略者なのか?「ノンマルトの使者」

 ウルトラマンと共に戦う「地球防衛組織」は、怪獣や宇宙からの侵略者から人間を守ってくれる正義の存在だ。しかし、1968年放送の『ウルトラセブン』第42話「ノンマルトの使者」は、その大前提がひっくり返ってしまうような回だった。

 海上に浮かぶ海洋調査船シーホース号が爆発し、それを予言した少年がいたことから物語は始まる。のちに“真市”と名乗るその少年は、「地球には人間よりも先に“ノンマルト”という先住民がおり、彼らは人間によって海に追いやられてしまった。人間は侵略者だ」と、主張する。

 その後、沿岸にはノンマルトが操る蛸怪獣ガイロスが出現。さらに、ノンマルトはイギリスの原子力潜水艦グローリア号を強奪し、地上に総攻撃を開始する。それは、ノンマルトたちが住んでいる海底にまで、人類が開発の手を伸ばしてきたための報復だった。

 やがてノンマルトと人間は戦闘となり、「やめて!やめて!」「ウルトラ警備隊のバカヤロウ!!」と、主人公のモロボシ・ダンを制止する真市。ダンは苦悩しながらもウルトラセブンに変身し、ガイロスを倒す。ウルトラ警備隊もノンマルトらの攻撃を退け、グローリア号は逃走する。

 その後、ウルトラ警備隊は逃げるグローリア号を追跡し、その先に平和に暮らすノンマルトの海底都市を発見する。その光景に驚きを隠せない警備隊のキリヤマ隊長は、苦悩の末、攻撃を決行。ノンマルトの海底都市を破壊してしまう。そして「ノンマルトの海底都市は完全に粉砕した! 我々の勝利だ! 海底も我々人間のものだ!!」と、人間の勝利を高らかに宣言するのだった。

 もともと地上で生活していたノンマルトを海底へと追いやり、最後には、海底都市まで壊滅させてしまった――。本当の「侵略者」はいったい誰なのか、考えさせられる回だった。

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