■人類の兵器が復讐の星獣を生んだ「超兵器R1号」

 最後も『ウルトラセブン』から、第26話「超兵器R1号」を紹介する。ファンの間では先のノンマルト事件と同じく、「地球人の失策なのではないか?」と言われている回だ。

 地球防衛軍は、防衛力強化のために「R1号」という宇宙弾道弾を開発する。地球防衛軍のウルトラ警備隊に所属する主人公モロボシ・ダンだけはその兵器に懐疑的で、「それ(そんな兵器を開発し続けること)は、血を吐きながら続ける……悲しいマラソンですよ」と抗議する。

 しかし開発は止まらず、地球防衛軍は兵器実験のために「ギエロン星」という生物のいないと言われる星にR1号を発射し、消滅させてしまう。ただ、実際には、ギエロン星には生物が存在しており、その生物がR1号の放射能で異常進化を遂げ、「ギエロン星獣」として復活。そして地球人に復讐しようとするかのごとく地球へ迫って来る。

 ウルトラ警備隊はギエロン星獣を迎撃するが、ついには地球に到着し、放射線をまき散らしながら地球人へ報復をはじめてしまう。

 この時点で、ギエロン星獣はすでに人類の兵器では太刀打ちできない状態になっており、正義とは何か苦悩しながら、ダンはウルトラセブンに変身する。アイスラッガーでギエロン星獣の喉元を斬り裂き血しぶきをあげて絶命させるなど、ここでの戦闘は非常に痛々しいもので、ダンのやるせない気持ちを表すかのような壮絶なシーンとなっている。

「防衛」と称して強力な兵器を開発して他を攻撃、その報復でさらに事態が悪化するーー。身勝手な兵器の実験で生物が犠牲になる――。まさに現実の世界にも当てはまるような話で、今だからこそ観て考えるべき内容だと言える。

 今回は、昭和『ウルトラマン』シリーズの「問題回」を紹介してきた。昭和時代に作られた作品ではあるが、令和の現代でも古さを感じないエピソードばかりだ。我々人間の本質を捉えた非常に考えさせられる内容だと言えるだろう。

 これらの話は、配信サービスなどを利用すれば現在でも視聴も可能だ。令和の時代こそ、ぜひ一度観てもらいたい。

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