『ドラゴンクエスト4』誕生日に振り返る「ゲーム本編にも影響を与えた」漫画『ドラクエ4コママンガ劇場』の思い出の画像
漫画『ドラゴンクエスト4コママンガ劇場』(スクウェア・エニックス)

 2月11日は1990年にファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されたゲーム『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』の誕生日。人気ゲームのナンバリングタイトルの誕生日は、SNSで世界中からお祝いコメントやイラストが投稿されるなどといったファンの盛り上がりが見られるが、中には1990年代から2000年代にかけてエニックス(現スクウェア・エニックス)から刊行された、『ドラゴンクエスト4コママンガ劇場』を思い出す人もいるのではないか。

 これは複数の作家が、『ドラクエ』シリーズを題材にギャグ4コマを描いたアンソロジー形式のパロディコミックシリーズ。1990年4月に『ドラクエ4』の勇者たちを表紙にした第1巻が発売され、その後2005年まで刊行が続いた総巻数100冊を超える人気シリーズだ。

 今回は、『南国少年パプワくん』の柴田亜美さんに『魔法陣グルグル』の衛藤ヒロユキさんなど、その後の人気作家も数多く輩出したこの『ドラクエ4コマ』を振り返りたい。

■クリフトはアリーナが好き? 原作に逆輸入されたキャラ設定も

 ドラクエブームの当時、ゲームをしていない間は『ドラクエ4コマ』を友人間で回し読みをしたもので、目つきの悪い勇者や、酒豪のマーニャ、いじられ役のクリフトにライアン、邪魔者扱いされるトルネコなどなど、それぞれの作家によるパロディ設定がすっかり子どもたちに定着していたようにも思う。中にはそれが単なるギャグで終わらず、リメイク版で本編に逆採用されるというケースもあった。

 もっとも有名なのが、「クリフトがアリーナ姫に恋をしている」設定だろう。第2章に登場するファミコン版のクリフトは、あくまでもアリーナの旅の護衛としての付き添い役であり、「アリーナが好き」といったセリフや描写はない。

 ところが、『ドラゴンクエスト4コママンガ劇場』ではなぜか、「アリーナに惚れているクリフト」という設定が作家陣の間で大流行。片思いをして無茶をするネタがおなじみとなった。

 そして、なんとこの設定がリメイク版の『ドラクエIV』に逆輸入され、サントハイム城の本棚から「アリーナのかくしどりブロマイド」が見つかったり、新たに導入された仲間との会話システムで、クリフトのアリーナへの一途な思いが吐露されたりと、密かな恋心が分かる仕様になっている。またプレイステーション版では、戦闘時にAIに任せることでクリフトがアリーナを優先して回復するなどの行動が見られるが、これも『ドラクエ4コマ』から持ち込まれた恋心の影響かもしれない。

 その他にも、「ギャンブラーでお金大好きなマーニャ」や「根暗なミネア」などのパロディ設定がリメイク版で逆輸入されている。

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