『FF』『ドラクエ』『ロマサガ』強いのに「弱い」のはなぜ!? スーファミ名作RPGの「最強でも使われなかった」アイテムたちの画像
『ファイナルファンタジーVI』(編集部撮影)

 ゲームにおける武器・防具は攻略するうえで欠かせないアイテムだ。強敵がウヨウヨいるダンジョンの最下部にあったり、または数時間もかかるクエストをクリアしないといけなかったり、その入手方法がとてつもなくハードルが高くとも、高性能な装備品であればどうしても手に入れたくなってしまうのがプレイヤーの性だろう。

 とはいえ、苦労して手に入れたものの……ステータス低下効果が付いていたり、他アイテムで十分に補えるパラメータだったりと、「全然使い道がなかった」なんてこともよくあるパターンだ。今回は懐かしのスーパーファミコン時代に子どもたちに苦い経験を与えた、「プレイヤーに使われなかった」不遇なアイテムたちを振り返りたい。

■守備力最強のたて! しかし…

 まずは『ドラゴンクエストV 天空の花嫁 』の「メタルキングのたて」だ。ちいさなメダルでもらえる最高の景品であり、守備力は70と、作中では最強クラス。さらにはラリホーやザキ系への耐性もある。それだけを考えると、実に優秀な“最強のたて”だ。

 しかし、ゲーム後半のモンスターの特性や、入手条件と致命的に噛み合っていなかった。

「メタルキングのたて」は属性耐性がゼロであり、物理攻撃にはめっぽう強いものの、魔法やブレスに対しては弱いという極端な防具となっていた。終盤で訪れる魔界の街「ジャハンナ」で店購入できる炎耐性を持つ「みかがみのたて」をはじめ、その他にも「ひかりのたて」や「オーガシールド」など、優秀な盾が手に入ってしまうのだ。

「メタルキングのたて」のメリットでもある状態異常耐性においても、実は終盤における必要性はそれほどなく、ザラキで全滅させられるホークブリザードを過ぎてしまえば、この盾の状態異常耐性を意識することは、ほぼなくなる。そもそもザラキに関しては、パーティ全員への対策をしないと、結局自分ひとりだけ助かるだけでジリ貧となってしまう。マホトーンなどの、全体への対策のほうが有効となるのだ。

 店売りの「みかがみのたて」の防御力が55なのを考えると、防御力70の「メタルキングのたて」を装備する価値は大いにあるが、最大のデメリットはその入手経路。「メタルキングのたて」は、ちいさなメダル43枚と交換で入手できる。ほとんど全てのちいさなメダルを、これひとつにつぎ込む必要があるのだ。

 つまり、「メタルキングのたて」を入手すると、「きせきのつるぎ」や「しんぴのよろい」は入手不可能になってしまう。最強の盾であることは間違いないものの、入手できるタイミングや、他のアイテムとの選択制が災いしたことによって、あまりありがたがられない不遇の防具だったように思う。

■進化前のほうが人気だった「魔石ライディーン」

 続いては『ファイナルファンタジーVI』より「魔石ライディーン」。同作では幻獣が姿を変えた「魔石」を装備することで、さまざまな魔法を習得できるシステムが採用されていた。

「ライディーン」は、王女の思いによってパワーアップした「オーディン」の姿なのだが、効率を重視するプレイヤーは、進化前のオーディンの魔石を好む傾向にある。

 原因は、魔石のもうひとつの効果である、レベルアップ時のステータスボーナスにある。進化前のオーディンは、「素早さ成長+1」というオンリーワンのもの。『FFVI』のアクティブタイムバトルでは素早さが手数に直結するので、かなり重要なステータスとなる。対して「ライディーン」は「力成長+2」という、他の魔石でも替えの利くものとなっていたのだ。

 とはいえ、「ライディーン」でしか習得できない魔法「クイック」は、自分以外の時間を止めるという、最強に近い性能を持っている。そのため、これ目当てで進化させるのもアリではあるが……レベル99で打ち止めとなるステータス成長と違い、魔法はレベル99でも覚えられる。オーディンを進化させるとしても、本当に最終局面となるだろう。

 こちらも「メタルキングのたて」と同じく、他のアイテムとの選択制のために優先されないことが多いアイテムだ。同作には、仲間キャラクターのモグや、武器のラグナロクといった、選択制のせいで不遇となってしまった“仲間”がいることが救いであろうか。

■攻撃力が高いのに弱い「オブシダンソード」

 最後は『ロマンシング サ・ガ』より「オブシダンソード」だ。この剣は凍結湖の最奥に1つだけ存在する貴重なアイテムで、攻撃力は15と最強クラスである。前述の2つのように、他の装備との選択制でもない。

 にもかかわらず多くのプレイヤーが使わないのは、『ロマンシング サ・ガ』では武器と技がセットとなっているという成長システムによる部分が大きいだろう。レフトハンドソードでは「ふどう剣」、アイスソードでは「冷凍剣」など、最強武器を振ることによってそれにふさわしい最強の技を覚えることができるが、「オブシダンソード」が持っているのは「邪剣波」のみ。邪剣波は敵全体を攻撃できる技だが、威力は6と、実はかなり低い。

 使用しても敵を一掃できるわけでもなく、火力も出ないため、使い道はなきに等しい。結果、「オブシダンソード」自体が、使い道のない剣となってしまった。技の弱さは『ロマンシング サ・ガ』において致命的なデメリットなのである。

 最高の防御力、最高の魔法、最高の攻撃力をもってしても、メリットとデメリットが釣り合わなかった、強いのに弱いアイテムたち。そういったアイテムを2週目3週目のプレイで使ってみるのも、周回しやすいスーファミRPGの醍醐味であろう。