■日本の原風景と昭和の町、全編に漂うノスタルジー
実際にプレイしてみて、自然豊かな農村での夏休みっぽい体験に「懐かしさ」を感じるのは前述のとおりですが、炭鉱町の光景にもノスタルジーが漂います。
昭和の商店街を思わせるにぎやかな町並みが夕焼けに染まり、なんだか寂しげで……。日本各地にある鉱山跡のように、かつて栄えたものの役割を終えた遺跡を、実際に見るのと同じような感情がこみ上げてきて、胸を揺さぶられるんです。
ストーリー上でも、「炭の町」には異変の兆しがあり、人々は明日を心配しています。そんな心配事をお手伝いで次々と解決していく、しんちゃんの勢いある活躍ぶりが見ものです。また、しんちゃんと言えば“嵐を呼ぶ園児”ですが、秋田の村ではちょっとステキなことのきっかけを作る、そよ風を呼ぶ5歳児みたいな存在になっていますので、こちらにもご注目。
いったい「炭の町」とはどこにあるのか、どんな運命を辿るのか……秋田の村での田舎暮らしを含めた、ノスタルジックな非・日常生活を楽しみつつ、劇場版のようにしんちゃんを通して真相と結末を見届けたくなる作品だと思います。
ところで。しんちゃんを導くようにして、「炭の町」行きの電車に乗り込んだシロですが、車窓から進行方向を見つめるその顔には、決意や使命感みたいなものが表れていました。
このシーンが、とってもエモーショナルなんです! シロは何を知っていて、なぜしんちゃんを連れて行ったのでしょう!? そういえば、映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』でも、シロは別の世界への扉を開いて(というか穴を掘って)いたなぁ……。