■ニチアサに放送されたリアルロボット『ガサラキ』
最後に紹介するのは、前情報の段階ではかなり硬派なリアルロボットアニメになるのではないかと予想されたテレビアニメ『ガサラキ』。
1998年10月クールから2期にわたって放送された同作は、『装甲騎兵ボトムズ』の高橋良輔氏が13年ぶりに手がけたテレビシリーズ。日曜朝9時30分という「ニチアサ」と呼ばれる時間帯に放送されたアニメ作品だ。
その第1話「石舞台」では、前半からかなり硬派なロボット戦闘が繰り広げられる。ロボットの挙動や、インターフェースの描写、オペレーターや解析の様子など、高橋作品らしい細やかなリアルロボットの王道なシーンが展開される。
しかしそれは前半のみで、後半は主人公が能楽の舞いをずっと踊っているという、かなりユニークなシーンが続く。これは一見脈絡がないように見えるが、実はストーリー的にも繋がりのあるとても重要なシーンなのだ。しかし、『ガサラキ』は難解な世界観と複雑な設定が盛り込まれたアニメであり、第1話でその全てを把握するのはまず無理だろう。
とはいえ、ロボットの世界にリアルな軍事や政治を交え、そして伝統芸能や歴史といった要素を綿密に絡ませて、物語や世界観の深みを作るという『ガサラキ』は、理解すればするほどに面白い唯一無二の作品であると感じる。
子どもの視聴者にとっては突如登場する能面すら怖そうだが、こうした難解な作品が、ニチアサの時間帯で放送されていたというのは、『新世紀エヴァンゲリオン』や『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』が世界でも高く評価された90年代ならではだからだろうか。
3作品どれも、初回放映時には賛否があったものの、どれもユニークで今でも名作と語られる作品ばかりである。『勇気爆発バーンブレイバーン』も、後にそうしたアニメのひとつに数えられることは間違いないだろう。