「るんるん」「ぶ~け」に「女子向けコロコロ」も!休刊が惜しまれた“名作生んだ”少女漫画雑誌たちの画像
『月刊ぶ~け』1993年1月号(編集部撮影)

 出版不況とよばれて久しい近年、出版業界における紙媒体の位置付けは大きな変化をむかえている。特に漫画市場の変動は著しく、紙媒体とWEB(電子コミック)の平行運営、もしくはWEB移行や雑誌の廃刊も少なくはない。こうした波は少女漫画も例外ではなく、少女向け漫画雑誌でトップを走る小学館『ちゃお』でさえ、その発行部数は2022年10〜12月の15.7万部から、2023年1〜3月には14.8万部と減少傾向だ。

 読んでいた雑誌が廃刊したことで、大好きな漫画がどうなるのかと不安を経験した読者もいるかと思う。だが、1980年代から1990年代にも、惜しまれながら廃刊した少女向け雑誌がいくつも存在したのである。そこで今回、廃刊・休刊された少女漫画雑誌の思い出を語りたいと思う。

■『なかよし』の妹分的な存在ながら短命で終わった2誌…『るんるん』『キャロル』

 最初は『なかよし』の姉妹誌として1983年に創刊された『月刊キャロル』と、1993年より隔月発行された『るんるん』を振り返りたい。

 講談社『なかよし』は、小学館『ちゃお』や集英社『りぼん』と並ぶ三大少女向け漫画雑誌だが、それより低年齢層をターゲットにした“妹分”的存在だったのが『キャロル』と『るんるん』だ。

『キャロル』といえば、女児向けアイドルアニメの草分けである『魔法の天使クリィミーマミ』(1983年)のコミカライズだろう。アニメ版のマミが表紙を飾った号があったり、付録に小冊子やグッズがあったりとアニメとのコラボ企画もあり、購買層にはアニメファンも多かった。同誌では他にも、絵本のように美しいテレビアニメ『とんがり帽子のメモル』(1984年)の漫画化や、当時『The・かぼちゃワイン』がアニメ放送されていた三浦みつる氏の『ふたりでチェリー』など注目作もあったが、翌年の1984年7月号で休刊となった。

 元は季刊誌で、1993年5月号より隔月刊誌となった『るんるん』は、元は『なかよし増刊るんるん』としてスタートした雑誌。同誌では『美少女戦士セーラームーン』の原案とされる武内直子氏の『コードネームはセーラーV』が掲載され、グッズとのタイアップをしていた高瀬綾氏の『リリィ&アールのふしぎなお店』や、小坂理恵氏の不条理ギャグ作品『わたしがやらねば』など、コアなファンの間で今でも人気を誇る名作は『るんるん』から生まれた。だがこちらも5年と短命で、1998年1月号で事実上廃刊となった。

■『マーガレット』と『りぼん』から誕生したA5判少女コミック誌…『ぶ~け』

 続いては『週刊マーガレット』と『りぼん』を母体に、1978年に誕生した集英社の『ぶ〜け』。「ブーケ」とはフランス語の「花束」のことであり、「マーガレットをりぼんで束ねてぶ〜け」ということでこの雑誌の名前がつけられたのだそうだ。2つの雑誌に掲載された作品の再録が目玉だが、名付けの由来からしてロマンティックなものだった。

 同誌にはバレエ漫画の金字塔的作品『SWAN』で知られる有吉京子氏の『ニジンスキー寓話』をはじめ、吉野朔美氏の『少年は荒野を目指す』や『恋愛的瞬間』、水樹和佳氏(現:水樹和佳子)の古代SF『イティハーサ』など、ちょっとお姉さん向きな作品を掲載。同誌では4人の個性的な女子高生による松苗あけみ氏の学園コメディ漫画『純情クレイジーフルーツ』が人気を集めたが、筆者は空回り気味な努力家優等生・梅本竹子が好きだった。

『ぶ〜け』は集英社が初めてA5判で発行した少女漫画誌だが、1996年にB5判へと版型を変更してからはレディースコミックぽい作品へと趣向を変えていき、創刊から25年目となった2000年に事実上廃刊。前年に創刊された『Cookie』が月刊誌へと昇格され、稚野鳥子氏の『クローバー』などが引き継がれていった。

■女の子向けの『コロコロコミック』?マイナー誌ながら今なおファンの多い…『ぴょんぴょん』

 小学館から1988年に創刊された『ぴょんぴょん』は女子小学生をターゲットとした漫画雑誌だが、実は企画を立ち上げたのは同じ小学館内の『コロコロコミック』二代目編集長・福島征英氏。つまり同誌は女の子向けの『コロコロ』を目指し、編集部も『コロコロ』と同じという風変わりな少女雑誌だった。

 少女漫画誌では主流の恋愛モノが同誌では少なく、代わりに男の子に人気で女の子も気になる特撮ヒーローや特撮ドラマなどの特集およびタイアップ作品が誌面を占めている。たとえば、藤井みどり氏の『ビックリマン 愛の戦士ヘッドロココ』は、当時大ブームとなったロッテのシールつきお菓子『ビックリマン』を少女漫画にした作品で、多くのオリジナルキャラの登場や原作と違った展開が盛り込まれた読み応えある漫画だった。

 創刊当時は隔月刊誌だったが翌1989年1月号より月刊化。1992年に発行部数10万部程度と伸び悩み、休刊および『ちゃお』との統合を余儀なくされる。そんな『ぴょんぴょん』は、マイナー誌ながら今も多くのファンに愛され続ける挑戦的な雑誌だった。

  1. 1
  2. 2