■セーラー戦士としての強さと孤独感を持つ『美少女戦士セーラームーン』木野まこと
『なかよし』での連載がスタート後、すぐにテレビアニメの放送が始まり多くの少女を虜にした『美少女戦士セーラームーン』からは、セーラージュピターに変身する「まこちゃん」こと木野まことに注目したい。作品の初期から転校生として登場した彼女は、茶髪のポニーテールをなびかせる爽やかな女の子だった。
高身長・怪力・男の子のような口調とボーイッシュな印象が強いが、内面は家庭的で友達思い、可愛いものが好きという誰より高い女子力の持ち主である。惚れっぽいところや照れ屋なところにも、女の子らしさが現れていた。
そんなまこちゃんだが、実は両親を飛行機の事故で亡くし一人で生きているという過酷な背景を持っている。まだ中学生なのにセーラー戦士として命を張って強大な敵と戦い、明るく元気に学校に通って衣食住の生活も自分でこなしていたなんて、冷静に考えると胸が締め付けられてしまう。
また、セーラームーンではタキシード仮面こと地場衛も幼少期に両親を事故で亡くして天涯孤独の身になっていた。記憶喪失になっていることもあり、壮絶度でいえば守のほうがやや上回るかもしれない。
■天涯孤独な女子高校生が主人公の『フルーツバスケット』
最後は、1998年から『花とゆめ』で連載が始まった高屋奈月氏の漫画『フルーツバスケット』から。原作は講談社漫画賞少女部門を受賞するほどヒットし、二度にわたってアニメ化・舞台化もしている。
同作は、主人公の本田透が「異性とハグをすると十二支の動物に変身してしまう」呪いを背負った草摩家の面々と、心を通わせ合いながら呪縛を解いていくハートフルファンタジー物語だ。
とはいえ、透は普通の女子高生ながら人生はかなりハードモード。冒頭で「女手一つで育ててくれた母を亡くし、秘密のテント暮らしをしています」と、他人の敷地内の山奥で暮らしている。
引き取られた親戚の家の改装期間、住む場所がなくなった結果のことではあるが、「山でテントを張って暮らす」という選択になるのはある意味ぶっ飛んでいる。お風呂や洗濯はおじいさんの家に行くとして、トイレはどうしていたのだろう。と、ファンタジー作品ながらも冷静に考えると疑問も浮かんでしまう。
どのキャラも、辛い過去があるようには見えないくらい明るく元気で一生懸命だった。時に過去のトラウマや心の闇が顔を覗かせることもあったが、そうした表情が見えることでより彼女らへの愛着が増していくこともあるだろう。