ロマンあふれる最強の剣!ギーガーにクトゥルフまで混ざったPCエンジン『邪聖剣ネクロマンサー』は中二病すぎるRPGだの画像
PCエンジン用ソフト『邪聖剣ネクロマンサー』(著者撮影)

 中学生や高校生になったタイミングで、ダークな世界観の中二病的なゲームや漫画に惹かれるようになったという人は少なくないはず。今から36年前となる1988年1月22日に発売されたPCエンジン初のRPG『邪聖剣ネクロマンサー』。当時は「中二病」などという言葉はありませんでしたが、本作は他のRPGにはない独特すぎるオーラをまとったタイトルでした。

■邪聖剣でネクロマンサーとか語感は最高! ギーガーのイラスト異物感は今でも胸熱

 邪で聖なる剣って、タイトルからして禍々しく、そのあとに続くのがなんでネクロマンサー(死霊魔術師・死霊使い)なのかがちょっと分からないんですが、流れるような語感の良さは最高です。この剣、何千年もの間、悪魔と戦っていた神が作ったもので、その神ですら持て余すからと封印されたというもの。ゲームではアイテムを集めてネクロマンサーを復活させ、さらに聖なる力を注ぎこむことで覚醒するというこれまた中二心をくすぐる演出なのです。

 さらに本作は、映画『エイリアン』で知られるH・R・ギーガーのイラストがパッケージに採用されているのもポイント。禍々しさがにじみ出る、生物でもあり機械でもあるような独特のイラストは、それだけでインパクトがあります。本作がモチーフにしたクトゥルフ神話には「ネクロノミコン」という架空の魔導書がありますが、ギーガーは同名の画集を刊行しています。双方に共通するそれをネタとして剣の名前が「ネクロマンサー」になり、またギーガーのイラストを採用したのかもしれませんね。

■PCエンジンのグラフィックスを活かした意外にオーソドックスなRPG

 恐ろしげな雰囲気がプンプンする『邪聖剣ネクロマンサー』ですが、魔物に襲われ存亡の危機にあるイシュメリア国を救うため、仲間と共に冒険の旅に出るというオーソドックスなRPGだったりします。

 まぁ、出現する敵の一部が結構グロかったり、クトゥルフ神話でいう邪神やその眷属だったりすることからか「ホラーロールプレイングゲーム」となっていますが、実のところそれほど恐怖やホラーな感じはありません。ちょっと気色悪い敵がいたり、敵が死ぬときにちょっと血しぶきが舞うぐらいです。

 ただ、キャラクターの等身が高かったり、フィールドや町のグラフィックスが鮮やかだったり、モンスターがアニメーションするなどファミコンのゲームとは一線を画しており、次世代機であるPCエンジンらしい最先端のRPGであったともいえます。しかし、これは意図的だったそうですが、ちょっとモンスターが強かったり、エンカウント率が高かったりとバランスがキツめなところがあり、難易度の高いRPGでもありました。

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