■グロやスプラッタだけじゃない? チャレンジ精神にあふれたシステムも魅力

 オーソドックスなRPGとはいうものの、新しいものにチャレンジしているのも『邪聖剣ネクロマンサー』の特徴のひとつ。

 もっとも分かりやすいのが仲間の存在で、本作ではゲーム冒頭に攻撃魔法が得意なキャラや近接攻撃が得意なキャラなど、それぞれ特徴をもつ5人のキャラクターのなかからふたりを選んで冒険することになります。しかし、誰を選ぶかでゲームの難度が激変し、選んだキャラによってクリアできなくなることはないようなのですが、その苦労はかなりのものになるとのことです。

 そのほかにも仲間をないがしろにすると戦闘中に逃げてしまったり、レベルが最大よりもその手前のほうがパラメータが高かったり、魔法が使えるようになる魔導書は購入制で仲間に渡して使いまわすことができたりと、ほかのRPGと比べても個性的な部分もたくさんありました。その一方でちょっと残念だったのが、継続して遊ぶためのパスワードが最大で64文字もあり、しかも、ひらがな、カタカナ、英字の3種類の文字を使ったもので、文字がにじむブラウン管では非常に間違いやすく苦労したものでした。

■良作というより凡作? でも忘れられない愛らしさのあるRPG

 中二病という点ではタイトル名だけの出落ち感がある本作ですが、レトロゲームファンに「邪聖剣」と問えば「ネクロマンサー」と返ってくるほどの語感の良さは唯一無二といえるでしょう。正直、RPGの出来ばえは良作には届いていないと思うのですが、どこか嫌いになれず遊んでしまう不思議な魅力を持っているのが『邪聖剣ネクロマンサー』というゲームだと私は思います。

 PCエンジンの象徴的なRPGの一本であるためか、PCエンジンminiに収録されていたり、携帯アプリで直系の続編『邪聖剣ネクロマンサー2』(のちにニンテンドーDSiウェアに『邪聖剣ネクロマンサーNIGHTMARE REBORN』として移植)がリリースされていたりと、思った以上に愛されている作品といっても過言ではありません。現在、本作を遊ぶ手段は限られているのが残念ですが、ちょっとギーガーな世界っぽいRPGに浸りたい方は、ぜひプレイしてみてはいかがでしょうか。でも、夜、一人では遊ばないで下さいね(と、当時のCMで言っていました)。

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