■『バガボンド』は直近インタビューで「早く描きたい」と
昨年大ヒットを記録したアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』の原作者・井上雄彦氏も連載再開を待たれる作品を持つ人だ。言うまでもなく剣豪・宮本武蔵を主人公にした『バガボンド』だが、『週刊モーニング』(講談社)で連載していた同作は、2015年2月の掲載を最後に長期休載が続いている。それ以前にも体調不良で一時休載や連載ペースを落とすという形になっていたが、現在の連載中断の一番の理由は創作の苦悩によるところが大きいようだ。
漫画家に限らずクリエイターにとって作品を生む、物語を生む、キャラクターを生むというのは大変苦しい作業だ。漫画家や小説家はキャラクターの心中をうまく台詞として言語化できないことで、絵師であればキャラクターの表情1つが納得いくように描けないことで筆が完全に止まってしまうことが多々あるという。井上氏もそれに近い状態であることをいくつかのインタビューで語っており、他にも車椅子バスケの漫画『リアル』の連載、『SLAM DUNK』の映画化、依頼されるさまざまな仕事による多忙さも予想できる。
一方で朗報もあり、最新のインタビューとなった『THE FIRST SLAM DUNK』公式サイトでは、「いろんな意味で自分の幅を広げてくれた作品で…って、まだ終わってないんですけど、もうね、早く描きたいんです。」と、連載再開への意欲を示している。同じく休載中だった同氏の『リアル』は不定期掲載ながら連載を再開しており、『バガボンド』も何らかの形でこの先のストーリーを見せてほしいものだ。
この他、休載中の人気漫画と言えば美内すずえ氏の『ガラスの仮面』が有名だが、こちらは本人がXにて完結まで描く意志を発信しているのでそれを信じて待ちたいところ。さらに平野耕太氏の『ドリフターズ』、岩明均氏の『ヒストリエ』など物語の続きが待ち望まれる作品はこの他にいくつもある。ファンにとって長い休載はヤキモキしてしまうところだが、作者の充電期間と捉えていつか始まる連載再開を待っていたい。