『ガラスの仮面』姫川亜弓に『エースをねらえ!』お蝶婦人も! ケタ違いの優雅さ…昭和の少女漫画に出てくるお嬢様たちの描写がすごかったの画像
『ガラスの仮面』第20巻(プロダクションベルスタジオ)

 昭和に流行った少女漫画には、髪の毛をゴージャスに巻き、フリフリのドレスを着ているお嬢様キャラがよく登場した。当時はそのようなアニメや漫画が流行っており、幼かった筆者も豪華なお嬢様キャラの塗り絵を楽しんだ記憶がある。

 豪華絢爛の彼女たちは、見た目もすごいが私生活もすごい。通常では考えられないような豪華な家での優雅すぎる生活……憧れた少女たちは多かっただろう。今回は、そんな昭和を代表するお嬢様たちの豪華な描写を振り返りたい。

■「ばあや クィーンメリーをおねがいね」『ガラスの仮面』姫川亜弓

 お嬢様キャラというと、美内すずえ氏による演劇を舞台にした名作『ガラスの仮面』に登場する、主人公・北島マヤの永遠のライバル・姫川亜弓を思い出す人も多いだろう。

 亜弓は父が有名映画監督、母は大女優という芸能一家の一人娘。見た目も典型的なお嬢様だが、私生活も大変豪華だ。

 コミックス22巻から始まる「ふたりの王女」を演じることになった亜弓とマヤは、私生活とは対照的な役柄から稽古の一環としてお互いの生活を交換することにする。はじめてマヤが亜弓の家を訪れたときは衝撃の連続だった。自動で開く門扉、待ち構える使用人たち、豪華な白いピアノにフランス人形の飾られた部屋、まさに昭和の豪華な生活を彷彿とさせる描写だ。

 そして亜弓とマヤの帰宅時に迎え入れたのが、この家に仕える“ばあや”である。亜弓はマヤを紹介すると「ばあや クィーンメリーをおねがいね」と、一言。このクィーンメリーとは、イギリスの老舗商社が考案した銘柄の高級紅茶で、現在でも100g2500円以上で販売されている。さすがお嬢様だ。筆者が愛飲している100パック入り400円の紅茶は、絶対に飲まないだろう……。

 豪華な食生活と恵まれた生活があるからこそ、お嬢様独特の優雅で落ち着いた雰囲気、美貌は作られたのかもしれない。

■暖炉の前で優雅に座るセレブ『エースをねらえ!』お蝶夫人

エースをねらえ!』は、山本鈴美香氏によるテニスをテーマにした人気漫画作品だ。本作にも竜崎麗香、通称“お蝶夫人”というスーパーセレブが登場する。

 お蝶夫人は西高テニス部のエースであり、主人公岡ひろみが憧れる先輩だ。そのテニスプレーはゴージャスで、お蝶夫人のテニス描写には必ずといっていいほどバックに蝶か花が描かれている。そして笑うときは口元に手を当て「おほほほ…」と笑い、言葉使いは「よろしくてよ」などというのが特徴だ。そんなお蝶夫人の私生活ももちろん豪華だ。

 ストーリー序盤、ひろみの私生活が気になったお蝶夫人は、自分を慕う後輩たちにひろみを監視させるよう命じる。ひろみを尾行し「あ 蝶ねえさま じつはいま…」と、お蝶夫人に電話をかける後輩。調査報告を聞くお蝶夫人は、家のなかでも豪華絢爛なドレスをまとい、頭には大きなリボン、そして首元にはオシャレなチョーカーを巻いている。

 そして電話を終えたあとは、華やかな椅子に腰かけ、暖炉の燃えあがる炎の前でひろみに対する闘志を燃やすのであった。

 今見てみてもお蝶夫人は、高校生には見えないスーパーセレブだ。しかし当時アニメや漫画を見ていた少女たちにとっては「こんなお姉さまが身近にいたら素敵……」と憧れてしまうほど魅力的なキャラクターであった。

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