■現代の新宿となった『シティーハンター』

 さて、新宿を舞台とした作品で最も知名度が高いのは北条司氏による『シティーハンター』だろう。

 1988年に放送されたアニメ『シティーハンター2』のエンディング曲「STILL LOVE HER」では、キャラクターの背景に、新宿中央公園から望む夜の新宿高層ビル群や新宿御苑など新宿の実写背景が映し出された。今改めて見てみると、明らかにビルの数は確実に増えているが、どの風景にもどこか面影がありエモーショナルな気持ちを想起させる。

 さて、2019年に公開された映画『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』では、作中に登場する新宿の風景も現代風になっていた。

 冒頭では、歌舞伎町に2015年にオープンした「新宿東宝ビル」の前に、武装集団がロケット弾を発射した。あわやゴジラ像に当たりそうで大ピンチという衝撃的な幕開けだ。

 また『シティーハンター』のお約束といえば、新宿駅東口の伝言板に「XYZ」の合言葉を書き込むという依頼方法だが、この映画版では「ルミネエスト新宿」の一角でスマートフォンのカメラをかざすと伝言板が現れるという設定に変更されている。少し寂しいような気もするが、今この時代にも『シティーハンター』が実在しているようで嬉しくもある。

 新宿を舞台とする作品はどこかスタイリッシュで夜の風景を思わせるものが多い。一度夜の新宿で聖地巡りをしてみるのもいいだろう。

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