■孤独な女王「ネヘレニア」

 アニメ『美少女戦士セーラームーンSuperS』及び原作第4期で、デッド・ムーンをまとめていた新月の女王「ネヘレニア」も、鋭い目つきでヴィランらしい顔立ちをしているが美しく妖艶で惹きつけられる敵の一人だ。

 床まで引きずる濃紺のウェービーヘアが特徴で、白いドレープが付いた黒のロングドレス、額には新月をモチーフにしたアクセサリーを身に着け女王の貫禄を醸し出している。

 アニメ版のネヘレニアは老いを恐れ、常に若さと美しさを求めていた。その背景には、美しくないと誰からも愛されないという不安や孤独感がある。彼女の真の姿である側近・ジルコニアへの周囲の冷たい態度も、彼女の悲しい思考を強めてしまったのだろう。誰にも心を開けず、信用もできないネヘレニアの姿は切ないものだった。

 セーラー戦士の前に現れる前は封印されていて、原作とアニメ版では封印に至るまでの経緯が大きく違う。ラストも、原作では倒されて終わっているが、アニメ『セーラースターズ』では浄化を受け入れ過去へと転生している。ちなみに、アニメ版で子どもの姿に戻ったネヘレニアは穏やかな顔をしており、非常に可愛かった。

■ダークサイドに飲み込まれた土萠ほたる「ミストレス9」

 最後は、原作・アニメ『美少女戦士セーラームーンS』第3期及び『セーラームーンCrystal』で、「デス・バスターズ」の上級幹部として登場した「ミストレス9」を振り返ってみよう。

 身長より長いストレートの黒髪がトレードマークの彼女は、体にフィットしたセクシーなマーメードドレスを身にまとっており、敵キャラの中でも特に高貴な雰囲気を醸し出していた。

 とはいえこの美しい外見は、セーラーサターンの力を宿していた土萠ほたるの肉体である。師ファラオ90の覚醒をもくろむミストレス9の本体は、幼少期の頃からほたるの体内に寄生してチャンスを伺っていて、ほたるの自我を支配している間のみ変身していたのだ。 

 土萠教授の協力でほたるのすべてを乗っ取りにかかるが、ほたるの強い抵抗やセーラームーン・ちびうさらの活躍で切り離され、最終的には本来の醜い姿が露見してしまう。

 ミストレス9が内部から操っていたせいで本意ではない発言や行動をして周囲を傷つけてしまい一人苦しむほたるの姿、その後ミストレス9の侵略に抗いセーラーサターンとして覚醒していく姿は胸を打つものがあった。

 今回紹介したキャラのほかにも、「カオリナイト」や「クイン・ベリル」「エスメロード」といった美しい敵キャラたちが物語に華を添えていたが、全体的にみてやはり『セーラームーン』の悪役女性キャラはみなセクシーでルックスがいい。さらに個性があって、「悪い」だけではない魅力があったと思う。

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